2012年1月号

失敗の連鎖:なぜ帝国海軍は過ちを繰り返したのか

「攻撃は最大の防御」という錯誤

杉之尾 宜生 :元 防衛大学校 教授

杉之尾 宜生

元 防衛大学校 教授

失敗からいかに学ぶか──これは、軍隊に限った課題ではない。いまなお企業不祥事が後を絶たないのは、組織が失敗の拡大再生産のスパイラルに陥るからである。負の連鎖を断ち切り、失敗を組織の知的資産として活用するには、真実の解明こそが王道である。そこで、本稿では、大東亜戦争において帝国海軍の犯した3つの過ちを取り上げる。 第1は、世界秩序のなかで日本がどのような地位を占めるべきかというグランド・ストラテジーを描けなかったことである。そのため、武力戦という戦争におけるサブフィールドのみに注力し、戦略なき戦いの泥沼に陥った。第2に、大艦巨砲主義・艦隊決戦に固執するあまり国家の生命補給線であるシーレーン(海上交通連絡線)をアメリカ海軍に寸断され、資源供給の道が断たれた。第3に、世界トップ・レベルの科学者を擁し、緒戦において質的戦力が日米拮抗していたにもかかわらず、その可能性と彼らの提言に背を向け、諸資源の戦略的活用を誤った。これら3つの過ちが、失敗に至る遠因を形成したことは間違いない。

杉之尾 宜生元 防衛大学校 教授

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