DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
UPDATED TUE. JAN 31. 2012
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次号予告
2012年3月号 特集:チェンジ・ザ・ワールドの経営論
2012年2月10日発売 予定価格:2,000円(税込)
表紙
Feature Articles
「制度の論理」による
グレート・カンパニーの経営論
ロザベス・モス・カンター  ハーバード・ビジネス・スクール 教授
 事業の目的とは何か。経済学者や投資家は「金儲け」にほかならないと主張し、大半の経営者たちがこの論理に従ってきた。利益の極大化、株主価値経営、四半期主義、「企業は株主のもの」を前提としたガバナンスなどは、その典型である。
 しかし、社会目的と経済価値を両立し、長期志向の経営を実践する「グレート・カンパニー」は、異なる論理、すなわち「制度の論理」(institutional logic)で行動している。ピーター F. ドラッカーが訴えたように、経済機関というより社会機関として自社を位置づけ、社会に貢献することを事業の目的とし、外部不経済を内部化し、株主以外のステークホルダーからも称賛される行動に努めている。
 本稿では、ペプシコ、ノバルティス、サンタンデール、新韓銀行、P&G、IBMなどの事例を紹介しながら、グレート・カンパニーに共通する6つの要件、すなわち「共通の目的」「長期的視点」「感情的な絆」「公的組織との連携」「イノベーション」「自己組織化」について解説し、持続可能性を追求する企業は制度の論理に従って思考・行動しなければならないと訴える。
経済価値と社会価値を同時に追求する企業モデル
「共益企業」とは何か
ヒーラッド・サベティ  フォース・セクター・ネットワーク 共同創設者
 経済価値と社会価値を同時に追求し、それぞれを最大化する取り組みが世界じゅうで進められているが、そのなかで、社会起業家たちの間では「共益企業」というツールが広がっている。現在、残念ながら、法律や税制の問題から、企業を立ち上げる時には営利か非営利の二者択一を強いられる。その結果、所期の目的がズレたり、組織運営が複雑化したり、経営資源を浪費したりするはめになる。共益企業はこのような現状に一石を投じるものである。
 まだそのような制度的制約があるとはいえ、アメリカ医療保障制度改革の議論のなかで浮上したCOOP、水素燃料電池自動車メーカーのリバーシンプル、社会投資を実践するアップストリーム21、フェア・トレードによってコーヒー製品を製造・販売するカフェダイレクトなどは、制度の間隙を縫って、まさしく共益企業を実現している。そして、イギリスやアメリカでは、「コミュニティ・インタレスト・カンパニー」「限定利益合同会社」「ベネフィット・コーポレーション」「フレキシブル・パーパス・コーポレーション」など、法的に共益企業を認める動きも出始めている。
外部化されたコストを内部化する時代
サステナビリティ3.0
イヴォン・シュイナード  パタゴニア 創業者兼会長
ジブ・エリソン  ブル・スカイ 創業者
リック・リッジウェイ  パタゴニア バイス・プレジデント
 ビジネスが社会に及ぼす悪影響を減らすという側面では、我々は進歩しているとはいえない。むしろ、ビジネス活動の負の影響は拡大し続けている。環境に悪影響を与える製品を買うほうが、環境への負荷が少ない製品を買うよりも概して安価だからだ。すなわち、地球にとっては高コストでも、顧客にとっては高価格にならない。これは、事業活動によって地球にもたらされる損害を企業が負担しなくてもよいからだ。
 このような影響の多くは正確に測りにくい、あるいは個々の企業に公正に割り振りにくいため、そのコストは常に企業会計において外部的なものだった。しかし、このように外部化されたコストを定量化し、割り振ることができたとしたら、安いものを求める消費者心理が、健全で公正な世のなかを維持するビジネス手法と完全に合致し、強力な市場の力がサステナビリティの目標に資するようになる。
 幸いなことに、成功するビジネスが持続可能なビジネスと同義になるのは可能なばかりか、もはや必然である。
社会変革を実現させる
社会起業の投資モデル
ウィリアム・フォスター  ブリッジスパン・グループ パートナー
スーザン・ウルフ・ディトコフ  ブリッジスパン・グループ パートナー
 篤志家(フィランソロピスト)が社会貢献活動を行う際には、目標とする変革の実現に向けて、自分が提供する資金を本当に役立てたいのであれば、適切な投資モデルを持つ必要がある。しかし、必要とされる支援ではなく、細かな干渉を行うことで、資金受領者に高い資本コストを課し、かえって活動の妨げになるケースは多い。
 有能な篤志家は資金提供の対象者や適切な支援のやり方を心得ている。方法は大きく4つある。(1)優れた非営利組織をつくる、(2)世論と政府を変える、(3)仲介組織を設立する、(4)調査を通じて解決法を編み出す、というものである。
 目的に最も合った方法を見極めた後、それに沿って適切な活動を組み立てていく。金銭的な支援以外にも、果たすべき役割、提供できる資源、構築すべき人間関係を検討し、適切な関わり方をすることで、本当に効果的な支援活動が可能になる。
価値観を成長の源泉とする
インフォシス:尊敬される企業を目指して
N. R. ナラヤナ・ムルティ  インフォシス・テクノロジーズ 名誉会長
 洋の東西を問わず、企業の不正取引、贈収賄など不祥事のニュースは後を絶たない。そのなかで、インドのIT企業、インフォシスは時代を先取りして、N. R. ナラヤナ・ムルティのリーダーシップの下、収益や雇用の拡大よりも「尊敬される企業になること」をビジョンに掲げて、成長を遂げてきた。
 どれほど素晴らしい理念であっても、現実社会の力学の前には、ビジネス上の不利益を避けるために、価値観を曲げる誘惑と戦わざるをえないことがある。インフォシスも例外ではなく、その信念を試される経験を何度も経てきた。くわえて、企業が大きくなるほど、内部の規律を守ることは難しくなる。
 ビジネスチャンスや利益を犠牲にしても、断固たる姿勢を貫くことで評判が形成され、競争力をつけてきたインフォシスだが、大所帯となったいま、大切にしてきた価値観を守るための苦闘は続いている。組織内に価値観を浸透させるためには、制度や環境の整備だけでなく、何よりも経営陣が率先垂範していくことが不可欠である、と語る。
5社のCSR戦略に学ぶ
ステークホルダー経営の優秀事例
アリソン・ビアード  『ハーバード・ビジネス・レビュー』シニア・エディター
リチャード・ホーニック  『ハーバード・ビジネス・レビュー』コントリビューティング・エディター
 社会的責任を果たす「よい会社」となるのは難しい。しかしそれに挑戦する価値はある。本稿ではHBR編集部が、5人の学識者のアドバイスも得て選んだ5つの企業を紹介している。これら企業はそれぞれステークホルダーに貢献しながら、利益も上げている。
 オランダのロイヤルDSMは、国連世界食糧計画と連携して、飢餓に苦しむ国・地域で同社のサプリメントを配給するプロジェクトを進めている。同社はこのプロジェクトにより人材面の優位性が高まったという。またサウスウエスト航空は「従業員第一主義」を標榜し、それが競合他社を圧する業績につながっている。中国の遠大集団は、環境に配慮した製品や建設工法でグローバルな事業を展開中である。またカナダの肥料メーカー、ポタシュ・コーポレーション・オブ・サスカチワンは、エンロンやワールドコムの不祥事の反省から、コーポレート・ガバナンスを重視している。さらにユニリーバは、膨大な数に上る製品のサプライチェーンについて、持続可能性を高めようとしている。
「共通目的」と「貢献の倫理」が支える
協働する共同体
ポール・アドラー  南カリフォルニア大学 マーシャル・スクール・オブ・ビジネス 教授
チャールズ・ヘクシャー  ラトガース大学 スクール・オブ・マネジメント 教授
ローレンス・プルサック  インスティテュート・オブ・ナレッジ・マネジメント創設者兼エグゼクティブ・ディレクター
 知識労働者の能力を最大限に活かすには、従来の組織では限界があると指摘されてきた。筆者たちは、効率性とイノベーションに優れた組織を長年研究してきた結果、「協働する共同体」という新たなモデルを提示する。
 メンバーの専門知識と能力を結集して組織全体のミッションに貢献させる「協働する共同体」は、IBMやCSC、またシティバンクの一部の部門に見られ、実際に生産性の大幅な向上などの成果を上げている。
 しかしこの「協働する共同体」が目に見える成功を収めるためには、取り組まなければならないことがある。まず組織の「共通目的」を定め浸透させること。そして共通目的のため、自分の役割を超えて仕事のできる「貢献の倫理」を醸成すること。さらに柔軟性を保ちつつ規律を持って共同作業に取り組めるようなプロセスを構築し、協働が尊重されるようなインフラを整備することである。
HBR Articles
顧客と企業のつながりをいかに強化するか
成功するSNS戦略
ミコワイ・ジャン・ピスコルスキ  ハーバード・ビジネス・スクール 准教授
 いまや10億人以上がソーシャル・プラットフォームを利用している。その魅力は何だろう。これらは、人間の2つの基本的欲求を満たしている。つまり、見知らぬ人と出会うことであり、現在の人間関係を深めることである。
 筆者がソーシャル・プラットフォームに参入している企業60社超について調査したところ、うまくいっていない企業に共通していたのは、「デジタル戦略」を導入し、売らんがためのメッセージを発信し、顧客の反応を求めるというやり方であった。一方、成功を収めている企業は、新たな出会いを生み出し、人間関係をより良好なものにする「ソーシャル・ネットワーキング・システム(SNS)戦略」を打ち出していた。つまり、利益や経済性よりも、先の基本的欲求を優先していたのである。
 フェイスブック、ジンガ、イェルプ、アメックスなど、SNS戦略を実践している企業を紹介しながら、その成功条件となる3つの原則と4つの戦略パターンについて解説する。
「譲れない原則」と「堅牢な学習システム」
「差別化」のビジネスモデル
クリス・ズック  ベイン・アンド・カンパニー パートナー
ジェームズ・アレン  ベイン・アンド・カンパニー パートナー
「差別化」は戦略の本質であり、競争優位の主な源泉である。しかし、差別化は時間とともに効力を失う。その真の問題は、競合他社の反撃によるものではなく、内部的なものであることが多い。経営陣の大半は、差別化の源泉について議論や測定を行うことに時間をほとんど割いていない。その結果、自社の差別化の源泉として何が最も強力であるかに関して、合意が形成されていないのである。
 このような明確性の欠如は、組織全体に波及する。差別化に当たっては、どこに適用することができるか、どのように発展させなければならないのかについて理解し、合意を形成することこそが、戦略を成功させるための要因なのである。
 さらに、企業が強力な差別化によって利益を持続させるには、単純明快な「譲れない原則」の形で最前線において差別化を実現する、あるいは、差別化によって絶え間ない適応を促進するような「堅牢な学習システム」を生み出すことである。本稿では、高業績を維持し続ける差別化戦略の要諦を示す。
OPINION
若年者雇用の未来
太田聰一  慶應義塾大学 経済学部 教授
CHIEF OFFICERS
新時代のベンチャー企業を新たなエコシステムで支援する
林 郁  デジタルガレージ 代表取締役/CEO
※都合により、論文タイトル他、内容が変更となる場合がございます。あらかじめご了承下さい。
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