DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
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<2008年2月号 2008年1月号 2007年12月号> 最新号とバックナンバーの紹介
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the EDITORS
2008年1月号の読みどころ
「公器」の経営
布施と経済合理性の間

 戦後の日本において、企業と社会の関係について初めて議論されたのは、アメリカから飛び火してきた「コンシューマリズム」が広がった一九六〇年代後半から七〇年代前半にかけてではないでしょうか。
 その後、八九年にエクソンの「バルディーズ号」の油流出事故問題が日本でも話題になったり、また『朝日ジャーナル』が九〇年(この年、経団連が「一%クラブ」を発足させます)と九一年に、アリス・テッパー・マーリンが六九年に設立したCEP(経済優先度評議会:現SAI)による『ショッピング・フォー・ザ・ベター・ワールド』に倣って「企業の社会貢献度調査」を実施したりしたことも拍車となって、第二の波が訪れます。
 昨今のCSRブームは、さしずめ第三波ということになりますでしょうか。そこで気になるのは、今号の「競争優位のCSR戦略」に書かれているような「事業に貢献しうるCSR活動を展開せよ」という、少々経済合理性の論理で語られる傾向があることです。
 仏教には「布施(ルビ=ふせ)」という考え方があります。これは、「財施(ルビ=ざいせ)」(金銭、衣服、食料など財を施すこと)、「法施(ルビ=ほうせ)」(仏の教えを説くこと)、「無畏施(ルビ=むいせ)」(人の厄難を救い、悩める者の不安や恐怖を取り除くこと)の三つに分類されます。なお、地位や財産のない者でも、いつでも簡単にできる「無財の七施」というのもあります。
 布施とは、見返りを求めない行為であり、ギブ・アンド・テイクといった動機はご法度です。
『徳の起源』(翔泳社)の著者マット・リドレーは、リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」へのアンチテーゼとして、人間は遺伝子の利他性を克服して「利他的である」と主張しています。また、脳科学者の茂木健一郎氏も「利他的な行為を行うと、脳はその報酬としてドーパミンを分泌する」と述べています。いずれも社会的な進化の結果なのかもしれませんが、人間には布施の心が宿っているといえるのではないでしょうか。
 とはいえ、高度に分業化され、さまざまな利害の持ち主が集まっている企業組織において、布施に傾倒することは、創業者でもない限り、そうできることではありません。やはり、近江商人の「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)、あるいは、「ハッピー・トライアングル」(消費者、企業、行政)のような考え方が、今後の主流にならざるをえないとは思います。
 ですが、ビジネスの論理から語られるCSRには、どこか「貪る心」が感じられます。今号では、日本の経営者一三人のCSRに関する語録を載せました。何人かの方々の言葉には、布施に近い志が感じられます。
2008年1月号 「公器」の経営
定価 2,000円(税込) この本を購入
表紙
特集 「公器」の経営
【二〇〇六年度マッキンゼー賞受賞論文】「受動的」では価値を創出できない
競争優位のCSR戦略
記事詳細
マイケル・ポーター  ハーバード・ビジネススクール 教授
マーク・R・クラマー  ハーバード大学 ジョン・F・ケネディ行政大学院 上級研究員
現状投資に意味はない
破壊的イノベーションで社会変革を実現する
記事詳細
クレイトン・M・クリステンセン  ハーバード・ビジネススクール 教授
ハイナー・ボーマン  ニュー・プロフィット CKLO
ルディ・ラグルス  コラボレーティブ・イノベーション・サービス 社長
トーマス・M・サドラー  CA バイス・プレジデント
BOP市場を開発する
企業とNGOの共創モデル
記事詳細
ジェブ・ブルーグマン  コンサルタント
C・K・プラハラッド  ミシガン大学 スティーブン・M・ロス・スクール・オブ・ビジネス 教授
日本の企業家 一三人の信念
社会とともに
 
日本産業史における偉大なリーダーの視線の先には常に、事業を通じてより豊かでよりよい社会の創造という理念があった。
[解説]  
名経営者たちのCSR理念五つのモデル  編集工学研究所 所長 松岡正剛
企業は社会の公器  松下電器産業 創業者 松下幸之助
共生のマネジメント  元 キヤノン 名誉会長 賀来龍三郎
民間女子教育機関の「生みの親、育ての親」  実業家 渋沢栄一
21世紀を担う人づくり  ソニー 創業者 井深 大
低公害エンジンは企業本位の問題ではない  本田技研工業 創業者 本田宗一郎
障害者の社会参加  オムロン 創業者 立石一真
利己のためではなく、社会のために利潤を追求する  京セラ 名誉会長 稲盛和夫
清く、正しく、美しく  阪急グループ 創業者 小林一三
個人は質素に、社会は豊かに  元 東芝 会長 土光敏夫
新しい経営理念とは何か  元 日本興業銀行 会長 中山素平
技術は人間にとっての手段にすぎない  元 日本電気 名誉会長 小林宏治
障害者福祉の「非常識」と闘う  元 ヤマトホールディングス 会長 小倉昌男
経営者よ正しく強かれ  トヨタ自動車 取締役相談役 奥田 碩
「企業戦略の父」が説く
企業倫理の道
記事詳細
ケネス・R・アンドルーズ  元 ハーバード・ビジネススクール 名誉教授
認知心理学の権威、ハワード・ガードナーが語る
ビジネスマンは道徳心を失いやすい
記事詳細
ハワード・ガードナー  ハーバード大学 教育学大学院 教授
「社会起業家の父」が語る
社会起業家の育て方
記事詳細
ウィリアム・ドレイトン  アショカ 創設者兼CEO
民間援助機関とのパートナーシップのつくり方
災害援助とCSR
記事詳細
アニシャ・トーマス  フリッツ・インスティテュート 共同創設者
リン・フリッツ  フリッツ・インスティテュート 会長
OPINION
バランス・スコアカードの進化
ロバート・S・カプラン  ハーバード・ビジネススクール 教授
HBR Articles
レピュテーションを管理するフレームワーク
いかに風評リスクをコントロールするか
記事詳細
ロバート・G・エクレス  ハーバード・ビジネススクール 上級講師
スコット・C・ニューキスト  パーセプション・パートナーズ 共同創設者兼マネージング・ディレクター
ローランド・シャッツ  メディア・テナー・インスティテュート・フォー・メディア・アナリシス 創設者兼CEO
Serial Article
立石一真ものがたり「できません」と云うな
【第六回】自動券売機、再婚
記事詳細
湯谷昇羊  ダイヤモンド社 論説委員
BRAIN FOOD
マイクロ・クレジットの影
スティーブ・ベック  ジュネーブ・グローバル CEO
ティム・オグデン  ジュネーブ・グローバル CKO
日陰仕事にいそしむ人を動機づける法
ハーバード・ビジネス・レビュー編集部  
ノー:逆説の小売ビジネス
クリス・バン・ダイク  ノー CEO
CHIEF OFFICERS
ブランド・アイデンティティを生み出すのは製品の品質である
ジョルジオ・グイドッティ  マックスマーラ ファッショングループ ワールドワイド コミュニケーション アンド PR プレジデント
 DHBR年間総目次 (二〇〇七年一月号〜一二月号)
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