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決断をいかに下すべきか |
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意思決定は経営者、マネジャーのみならず、ビジネスに関わるあらゆる階層の人にとって重要なものです。組織のフラット化、権限の委譲が潮流となっている昨今、ボトムでの意思決定もけっして軽視することはできません。ましてや、トップ・レベルの意思決定は、まさに企業の命運を決めると言えます。では、どのように意思決定を下すべきか。その歴史は古く、経験主義、合理主義のあいだで揺れ動いているようです。
「『決断』の科学」(2006年4月号)の特集論文「意思決定科学の歴史」では、その歴史を有史以前から紐解き、意思決定のあり方を考察しています。そのほかこの号では、脳科学、心理学、統計学など、さまざまなアプローチから意思決定が語られており、示唆に富んでいます。ジェフリー・フェッファー「エビデンス・マネジメント」、トーマス H.ダベンポート「分析力で勝負する企業」など好評を得た論文も掲載してます。同様に「意思決定力のプロフェッショナル」(2002年1月号)においてもゲーム理論や認知心理学などから意思決定を解説しており合わせて参考になります。
また「戦略思考のプロフェッショナル」(2005年7月号)では、戦略論を特集しながらも、意思決定に造詣が深い論文を編んでいます。アナロジーを軽視するゆえに誤った意思決定に陥ってしまうという「アナロジカル・シンキング」、成功例ばかり参照し、失敗事例を無視しがちなゆえに陥る「選択バイアスの罠」、論理的思考を超えた直感こそ重要と説くチェスの元世界チャンピョン「勝負師の戦略思考」など、いずれも線形思考の意思決定に警鐘を鳴らしています。 |
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関連論文掲載のDHBR |
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| FROM the EDITORS ― この号の読みどころ ― |
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| 意思決定は「非線形」である |
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一九世紀後半から二〇世紀初頭にかけて、近代科学の金科玉条である「要素還元主義」に、さまざまな異論が唱えられるようになります。すなわち、一つのシステムを個々の部分に分解し、それぞれを分析し、その結果を総合しても、もともとのシステム全体を知ることができないという指摘であり、いわゆる「脱要素還元主義」です。
その後――科学にパラダイム・シフトが起こったといわれますが――「複雑系科学」という、要素還元と脱要素還元が交錯する世界が生まれます。本特集を読んでいただければおわかりになるように、意思決定という人為も、科学の世界と同じといえましょう。
これまで、意思決定プロセスを分解し、それぞれの質を向上させることで、プロセス全体の、ひるがえっては最終的な意思決定の質を向上できるというのが前提でした。しかし、脳科学や認知科学、心理学などの研究から、人間の直感や経験則の重要性――時には、論理実証主義的なアプローチよりも優れている――が指摘されるようになりました。この点において、今号六〇ページの「脳の意思決定メカニズム」という論稿は大変興味深いリポートになっています。
脳と意思決定に関しては、養老孟司氏の『バカの壁』(新潮新書)もいいですが、ビラヤヌール・S・ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊、ふたたび』(角川書店)がお勧めです。これは同氏の『脳のなかの幽霊』(角川21世紀叢書)の続編です。脳研究の最先端について、文系諸氏にもわかりやすく解説しています。ちなみに、ラマチャンドランはカリフォルニア大学サンディエゴ校神経科学研究所所長です。
また認知科学からのアプローチとしては、日本認知科学会著『合議の知を求めて:グループの意思決定』(共立出版)はいかがでしょう。
本書は、集団的意思決定のパフォーマンスのほうが、なぜ一個人が下した意思決定のそれよりも低いのか、またどうすれば改善できるのかについて解説しています。日本の組織では、民主的な議論とコンセンサスが重視されます。もちろん、それが優れた意思決定を生み出すシステムにバージョン・アップされているならば問題ありませんが、多くは社会常識的に踏襲しているだけではないでしょうか。
また、本誌二〇〇二年一月号でインタビュー記事に登場していただいた、慶應義塾大学塾長の安西祐一郎教授の『問題解決の心理学』(中公新書)は、認知科学のフレーム・ワークによって、「情報処理システムとしての人間」の日常的な思考と行動について解説します。いかに論理的に考え、行動しているようでも、感情や経験に大きく支配されているかが、よくわかります。
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| 2005年7月号 |
特集:戦略思考のプロフェッショナル |
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| FROM the EDITORS ― この号の読みどころ ― |
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| 「戦略とは何か」について考える |
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戦略の定義とは、いかなるものなのでしょうか。マネジメント研究家たちの言うところをいくつかひもといてみましょう。
「ポジショニング(陣取り)である」
「自社固有の強みの先鋭化である」
「意思決定の統合である」
「未来を思考することである」
「他社との差別化である」
ヘンリー・ミンツバーグはその著書『戦略計画 創造的破壊の時代』(産能大学出版部)のなかで、この点について考察を試みていますが、彼が言わんとしていることは、本特集に再掲載した論考の主題「戦略プランニングと戦略思考は異なる」にほかなりません。
つまるところ、ミンツバーグは「戦略の公式化」への警鐘を鳴らしているのです。戦略論の提唱たちは、ビジネス競争に勝つためのフレームワークを考案しようと試みたわけですが、普遍性を求めたがゆえに汎用化に陥り、その結果、経営者や戦略家、コンサルタントたちの戦略思考は同質化することになりました。何とも皮肉です。
戦略という概念同様、いまや単なる符丁と化してしまったものに「ビジネスモデル」という言葉があります。かつてマイケル・ポーターは“Strategy and the Internet”(邦訳「戦略の本質は変わらない」本誌二〇〇一年五月号)という論文をHBRに寄稿した際、「愚者の言葉『ビジネスモデル』」という囲み記事を添えています。いわく「ビジネスモデルの定義はあいまいで(中略)誤解と妄想に駆られた戦略思考に陥る第一歩である」。
マッキンゼー賞受賞コンサルタント、ジョアン・マグレッタも『なぜマネジメントなのか』(ソフトバンクパブリッシング)において、ビジネスモデルの正しい理解を促しています。
本書では、一八九二年に当時のアメリカン・エキスプレスの社長、J・C・ファーゴがトラベラーズ・チェックのアイデアをひらめいたというエピソードが紹介されていますが、彼女は「これこそビジネスモデルと呼ぶにふさわしい」と述べています。
なぜなら、一般のビジネスはコストが売上げよりも先に発生するが、トラベラーズ・チェックはこれを逆転させ、しかも現金払いであるため、企業とすれば無利子の融資を受けているようなものだからであると。
ミンツバーグも、ポーターも、そしてマグレッタも、戦略には「創造性」、言い換えれば「独自性」が保証されていなければならないという見解で共通しています。
では、戦略の創造性とは何なのでしょう。そこで、シドニー・フィンケルシュタインの『名経営者が、なぜ失敗するのか?』(日経BP社)を一読されてはいかがでしょう。無数の答え(反面教師)が見つかるはずです。
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| 2002年1月号 |
特集:意思決定力のプロフェッショナル |
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| FROM the EDITORS ― この号の読みどころ ― |
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| ビジネスマンに必須のスキル |
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日本人ビジネスマンに不足している、合理的な「意思決定力」を特集として組みました。組織と個人の両方における意思決定について考えていきます。
組織において意思決定力が足りないのは、従来、アカウンタビリティ(説明責任)が問われることが少なかったからだと思います。しかし、これからは違います。株主に対する経営者の説明に始まって、結果責任が生じるあらゆる事項について、「なぜ、そういう決定を下したのか」、筋の通った説明が求められます。そのために必要なのが、合理的な意思決定力です。
行き当たりばったりの決断が基での失敗(成功も)では、後に教訓として生かせないのは、個人の意思決定においても同様です。
特集1は、現段階での研究成果である演繹合理主義的アプローチと経験合理主義的アプローチを、ケースとクイズを使って解説した後、それを止揚する著者独自の考え方を提示します。
組織では議論を経て意思決定し、メンバーは決定事項に従うのが当然ですが、それでも人間のすること、感情のしこりを残さず、納得して行動してもらうための議論の方法を、特集2では具体的に示します。
特集3では、経営学・経済学でいまもっとも注目されている「ゲーム理論」を使っています。二〇〇一年度のノーベル経済学賞の対象も関連分野。不確実性の高い事業において、合理的な意思決定をするために有効な理論です。
同じように注目度の高い認知の世界を、科学的に解明している安西祐一郎氏へのインタビューが特集4。抽象度とレベルの高い内容を、数学を学ぶ効用など、身近な事例を基に平易に説いていただきました。
続く二つの論考は実践編。特集5は特集2の主張と通ずるものがあり、いかに確実に実行させるかという「結果に結びつける意思決定法」にポイントを置いて論考しています。
特集6は、意思決定者が往々にして陥るワナに注目し、優れた決定を導くために必要な五つの技能を提示。組織との間で保つべき緊張関係や柔軟性の重要性を論じています。
特集に連動して「ブックス・イン・レビュー」では、意思決定論やゲーム理論に関する書籍を評しています。
また、今号から「GMとともに」の連載を始めます。近代経営の基礎を築いたアルフレッド・P・スローンの著書の復刻抄訳です。
第一回は、同書に寄せたピーター・ F・ドラッカーの序文です。若きドラッカーはスローンに呼ばれてGMを実地研究したことがきっかけとなって、経営学のパイオニアとなっていきます。本稿では、両者の意見の対立や、その後の交流など意外な事実が読み取れます。
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