DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
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ビジネス・コミュケーション
論理的思考や帰納・演繹といった思考法は、ビジネスパーソンであればだれもが身につけたい技能でしょう。実際、これらをテーマにした特集や書籍は好調なようです。今回は、その論理的思考をいかに他者に伝えるか、コミュニケーションに焦点を当てたバックナンバーを集めました。

『提案力のプロフェッショナル』(2004年10月号)は、コミュニケーションのなかでもプレゼンテーションに生きる論考を紹介しています。プレゼンで、ほとんど内容が同一の競合他社の提案が採用され、自分のものは不採用--こんな経験はだれしもあるはずです。この違いは何にあるのでしょう。プレゼンは身につけられる「技術」でありながら、技術を超えるべき「能力」でもある--。プレゼンの聞き手の意思決定を導くには隠されたヒントがあるようです。

『説得力のプロフェッショナル』(2002年9月号)は、説得・交渉といった、相手とのインタラクションが不可欠なコミュニケーションについての論考が集められてます。場を生かす能力ゆえ、経験や場数が必要といえそうです。しかし、だからこそ本誌で紹介するような知識がお役に立てそうです。初心者にはハウツーとして、ベテランには自身の暗黙的な経験を体系的に理解するために、ぜひご覧ください。

あるロジカル・シンキングの書籍に目を通していると、「愛情をもって」という表現がありました。いかに論理的で非がないロジックであっても、冷徹であったり、勝ち負けに拘泥したり、その伝え方を誤れば人は動かず、期待する効果も得られません。『ファシリテーター型リーダーシップ』(2005年9月号)は、リーダーシップの特集ですが、部下と組織を「動かす」コミュニケーションが紹介されています。
関連論文掲載のDHBR
表紙
2005年9月号 特集:ファシリテーター型リーダーシップ
定価 2,000円(税込) 目次 この本を購入
FROM the EDITORS  ― この号の読みどころ ―
変革の理(ことわり)を知る
 大なり小なり、組織を預かる者には「上司」「マネジャー」「リーダー」といった、異なる複数の役割が、その状況に応じて課せられます。
「上司は、部下一人ひとりの力を引き出さなければならない」
「マネジャーは、目標を実現しなければならない」
「リーダーは、組織をたえず革新しなければならない」
 つまるところ、いずれに共通することが、みずからも含めて、人々を変革へと駆り立てることです。デール・カーネギーの『人を動かす』がいまなおロングセラーとして読み継がれていることも、昨今のコーチング・ブームもその証左といえるでしょう。
 しかし、やむをえないことなのかもしれませんが、一対一のリーダーシップ技術に偏りすぎているのではないでしょうか。目の前の小さな事実を積み上げる演繹も必要ですが、同様に大局から目の前の事実を解釈する帰納が、リーダーシップにも必要です。すなわち、人に変革を決意させる理(ことわり)を知らなければならないのです。
 東京工業大学教授の今田高俊氏の『自己組織性』(創文社)は、書名が示すよう、組織とその構成員が、みずからを変革する、また革新を起こすメカニズムについて学際的に解き明かしたものです。組織も一つの系(システム)であり、どのような変数がそこに変容をもたらすのかを理解することができます。
 人を動かすには、理性よりも感情に訴えることが重要であるといわれますが、ピーター・F・ドラッカーの『非営利組織の経営』(ダイヤモンド社)を読むと、「高次元の理性」の力を感じないではいられません。
 このことは、けっして本書だけに記された真理ではありませんから、ほかにも同様のメッセージがあるでしょうが、マネジメントの本質を問い続けたドラッカーが最後にたどり着いたのが「非営利組織」です。いま、社会性を強く意識したビジネスマンが増えつつあります。そのような意味からも、ぜひ一読をお勧めします。
 最後に、ローレンス・プルサック、ドン・コーエン――彼らはナレッジ・マネジメントの研究者です――『人と人の「つながり」に投資する企業』(ダイヤモンド社)をご紹介します。本書は「人間関係(ソーシャル・キャピタル)を積極的にマネジメントする」ことで、人と組織に変革をもたらし、組織活力が高まると説きます。
 この考え方をHBR誌が初めて紹介した時、チームワーク同様、「日本企業では当たり前のもの」という反論がいくつか寄せられましたが、どちらもいまや失われつつあるのではないでしょうか。また、変革のリーダーシップには、人と人の関係性というネットワーク・システムへの理解も欠かせないのではないでしょうか。
表紙
2004年10月号 特集:提案力のプロフェッショナル
定価 2,000円(税込) 目次 この本を購入
FROM the EDITORS  ― この号の読みどころ ―
ロジシンの誤謬
 紀元前五〇〇年、古代ギリシャで修辞学を教えていたコーラックスという人物が『テクネ』という一冊の書物を著しました。この本は、裁判で用いる弁論術のいわゆるマニュアルであり、一部の研究者によれば、スピーチやプレゼンテーションの原典といえるものだそうです。
 このようにプレゼンテーションの様式もオリンピック同様、古代ギリシャを発祥としており、これが現在に受け継がれてきたわけです。
 と、論理的話法の歴史はかくも古いわけですが、最近、企業研修やビジネススクールでは論理的思考法の授業が大人気とか。
 日本人は論理的に思考したり、コミュニケーションを交わしたりするのが不得手であるといわれてきましたが、その必要性が二五〇〇年以上も遅れて、ようやく社会的に認識されたわけです。
 ただし、この手の流行が起こると、手段を目的化してしまいがちです。この点も日本人の悪いところです。しかも――その起源は裁判のマニュアルだったとしても――巧拙を競い合う、相手を打ち負かすといった、歪んだ動機も見え隠れします。
 ロジカルに考える、伝達することは、コミュニケーションのプラットフォームに従うことであり、入り口のスキルでしかありません。むしろその先、たとえば、気持ちよく納得させる、共に成功することを忘れないようにしたいものです。
 さて特集1は、ハーバード・ビジネス・スクール・プレスが発行する『ハーバード・マネジメント・コミュニケーション・レター』誌から、ユニークな論考を四本まとめてみました。
 特集2は、ベストセラー『ロジカル・シンキング』(東洋経済新報社)の共著者、岡田恵子氏の論考です。個人のプレゼンテーション能力は、組織のプレゼンテーション(コミュニケーション)能力に大きく影響を受けるという指摘は、技術論を超えた、大事なポイントです。
 紋切り型のスピーチやプレゼン、かたや奇をてらったボディランゲージ。話の中身もさることながら、その立ち振る舞いもコミュニケーションの魅力度を左右する要素です。そこで特集3は、俳優の細川俊之氏に、身体性のコミュニケーションのコツについてうかがいました。
 ハリウッドのシナリオライターたちのプレゼンテーションを研究・分析したところ、成功するプレゼンテーションの四パターンが見つかった。特集4は、そのインサイトを紹介したものです。あなたはどのパターンに最も近いでしょうか。
 特集5は、まだ日本では話題になっていませんが、最近アメリカで注目されている「ストーリーテリング」のテクニックを紹介しています。一度習ってみたくなりますよ。
表紙
2002年9月号 特集:説得力のプロフェッショナル
定価 2,000円(税込) 目次 この本を購入
FROM the EDITORS  ― この号の読みどころ ―
論理的思考を超えて
 ここ数年来、「論理的思考」「帰納と演繹」といった頭の体操が流行っています。いずれもビジネス・コミュニケーションのプラットフォームであり、いわばコンピュータのOSみたいなものです。
 そのアプリケーションには、意思決定、分析、システム思考などいろいろあるわけですが、さまざまな変数を考慮しなければならないとはいえ、正解が存在し、また自己完結させることが可能です。誤解を恐れずに言えば、数学や物性科学に似ており、短期間のトレーニングで一応の成果が得られるはずです。
 しかし、説得や交渉といった、他者とのインタラクションによって正解が導かれる類となると、場数といった経験や人間としての成熟度が大きく影響します。したがって学習曲線を一気に立ち上げるのは難しい。多少なりともその時間を短縮するにはパターン化が有効です。本特集はそのような視点から編集してみました。
 掛け値なしに役に立つ。特集1は読むだけでかなりの学習効果が得られるはずです。日本でも「説得」にまつわるノウハウ本は山ほどありますが、意思決定スタイルによって相手を類型化するアプローチはお目にかかったことがありません。仮想のケースも現実味に富んでおり、◎です。
 いまだご健在でした。特集2は『ハーバード流交渉術』(TBSブリタニカ)の著者、ロジャー・フィッシャー教授へのインタビューです。我々は教科書のようなレジュメを渡され、教授の講義を拝聴してきました。教授曰く「私がこれまでに書き上げた書物のエッセンスを二時間にまとめました」。さらに「交渉とは勝ち負けを競うゲームではない」。意味深長です。
 特集3は、社会心理学からのアプローチです。我々が暗黙的に理解している「説得の作法」を、理論に照らしながら体系的な理解を促す論考に仕上がっています。また、数々の説得テクニックを一覧にまとめてあります。
 一九八〇年にジョン・P・コッター教授がHBR誌に寄稿した“Managing Your Boss”という論文はご存じですか。特集4はここに着想を得、心理学の視点からまとめ上げたものです。リーダーシップばかりが問われる昨今ですが、部下の「フォロワーシップ」も等しく注目されるべきです。ほしがるばかりの人材はナレッジ・ワーカーと言えないのでは――。
 特集5は、異文化コミュニケーションに関する論考です。その内容はあまり一般的なものではないかもしれません。しかし、「多様性に適応する」というメッセージは普遍のものでしょう。日本の企業組織も多様化しています。一様のコミュニケーション・スタイルでは摩擦が生じかねません。
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