DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
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リーダーシップは学び、つかみ取れるか
 リーダーシップはどのように継承されるのでしょうか。多くの雑誌や書籍が、優れたリーダーをベスト・プラクティスとして、彼ら彼女らの行動や、そのウラにあるコンピテンシーを解き明かしています。また、成功を収めたリーダーが、そのリーダー観を語るものも多いようです。
 しかし、リーダーシップはノウハウで学べるスキルではなく、今日からすぐに実践できるドゥハウで身につくものでもないようです。だからこそ、本誌で紹介するような論考からつかみ取れるものがあるのではないでしょうか。今回はリーダーシップに示唆の富むバックナンバーをご紹介します。
関連論文掲載のDHBR
表紙
2005年3月号 特集:リーダーシップ・バリューの創造
定価 2,000円(税込) 目次 この本を購入
FROM the EDITORS  ― この号の読みどころ ―
バリューズ・ベースト・マネジメント
 今号の巻頭論文、IBMの新CEO、サム・パルミサーノのインタビューのなかで、株主価値経営ならぬ「価値観経営」という言葉が出てきます。
 パルミサーノは、老若男女、キャリアや考え方も違えば、従事している仕事も異なる組織を束ねるには、価値観こそ最も重要であると主張します。そして、権限を委譲し、それを広げるには、これが最善の手段であると。
 組織の大小にかかわらず、たいてい権限委譲は言葉だけに終わっているか、あるいはそのための環境が整っていないものです。たとえば、規則で縛ったり、減点主義であったりという組織では、権限委譲など絵に描いた餅にすぎません。本当に自律的な行動を支援している組織は、金や規則ではなく、価値観で縛る。昨今の不祥事の数々を見れば、何をか言わんやでしょう。
 以前、こんなことを言われたことがあります。「顧客に最高の価値を提供できなかった時、恥ずかしいやら悔しいやらで自己嫌悪に陥った」。はたして、このような台詞が出てくるかどうか。一つの試金石ではないでしょうか。
 EQといえば、ダニエル・ゴールマンの名前が浮かんできますが、提唱者はほかにいたんですね。特集1は、総勢一八名がEQリーダーシップについて、その持論を披瀝します。
 優れたリーダーたちには、常人には理解できない高次元な情報処理装置が備わっています。それは、身体的な経験を積み重ねた結果であり、それゆえ時には非合理的でありながら、何とも的確です。特集2は、このような優れた能力を効率的に学習するには、R&D活動が必要であると訴えます。実際、日本にはリーダーシップを専門に研究する組織や機関は見当たりません。
 特集3は「企業変革はリーダーシップ開発から始まる」の一言に尽きます。カナダの最大手金融グループ、RBCは、部門横断的なコラボレーションを実現するために、まずシニア・マネジャーの再教育に着手しました。
 ハーバード・ビジネススクールでは、新任CEO向けにワークショップを開いています。特集4は、過去の受講生たち(すなわちCEOたち!)の経験を調査・分析して、リーダーになった時の心得を解説します。
 フロイトが発見した「転移」についてはご存じでしょうか。要は、部下は上司のことを、父親か母親、あるいは兄弟姉妹として見なすことです。実は、この現象を知らないために、リーダーシップでつまずく人が多いそうです。特集5がその処方箋を教えてくれます。
 対人関係力は大きく四つの要素に分類できるそうです。特集6は、この分類に従って、個々人の特性を判断し、適切な仕事を任せることがリーダーの責任であると主張します。これは、自己分析にも使えますよ。
表紙
2004年8月号 特集:経営者人材のコンピタンシー
定価 2,000円(税込) 目次 この本を購入
FROM the EDITORS  ― この号の読みどころ ―
均衡との戦い
 今号より、大前研一氏の連載が始まります。かれこれ二〇余年前、同氏は何度となく、HBR日本版に寄稿されていたのですよ。みなさん、ご期待ください。
 話は変わって、停滞は事業を殺します。ですから、我々はいつも走り続けなければならない。言い換えれば、これは「均衡」、つまり安定や惰性へと向かう力との戦いです。
 あらゆるシステム(系)――市場も組織も、また人間も――が無意識に均衡を求めます。この力に流され、正当化する人々を官僚主義者と呼ぶわけですが、アルフレッド・スローンが提唱した「プロフェッショナル・マネジャー」は、むしろこの力に抗い、みずからを変化(時には進化)させ続けるシステムを創出しようと努めるものです。
 僥倖かもしれない成功を金科玉条に掲げる、前例にしがみつく、業界常識を重んじる、制度やルールに頼るなど、いずれも均衡を求める行為です。
 ヘンリー・ミンツバーグは「例外を(例外と)認めるのは弱さでしかない」と述べています。例外は均衡を乱す「ゆらぎ」であり、イノベーションの種なのです。「均衡と戦う」、そのようなマインドセットがこれからの経営者人材には求められているのではないでしょうか。
 特集1は、ドラッカーの二年ぶりの寄稿です。経営者人材の心得とは何かについて考えるには最適です。
 特集2は、近眼的な株主価値経営に浸かってしまった経営者に脚下照顧を促すものです。経営者の仕事とは何かについて、再考させられる論考です。
 組織力がもの言う時代、ナンバー・ツーがカギを握ります。しかし特集3が警告するように、有害な腹心には要注意です。組織のトップは孤独です。ここにつけ入る輩は必ずいることをお忘れなく。
 だれの心にも無意識に偏見が巣食っているものです。自分を倫理的な人間と信じている人こそ要注意。特集4は、このような潜在的偏見を自覚し、健全な意思決定を下すための処方箋です。
 特集5では、トップの首をすげ替えれば、業績は好転するという解決策は安易であると主張します。その調査とデータは、ほとんどのケースにおいて営業利益と株価に改善が見られなかったことを明らかにしています。
 経営者だからこそ取締役会の健全性に関与すべきです。特集6は、取締役会を再構築するための方法論を紹介します。
 さる五月、ハーバード大学への功労者を称える「ハーバード・メダル」の受賞者が発表されました。本誌外部編集委員の一人、三菱商事会長の槇原稔氏が、日本人で初めてこの栄誉に輝きました。おめでとうございます。
表紙
2003年12月号 特集:リーダーシップの心理学
定価 2,000円(税込) 目次 この本を購入
FROM the EDITORS  ― この号の読みどころ ―
組織行動学、行動経済学への招待
 少なくともここ三、四年、『ハーバード・ビジネス・レビュー』では、心理学を援用した論考の数が確実に増えています。そこで、これら「組織行動学」あるいは「行動経済学」と呼ばれる学際分野の論考、特にリーダーシップに関するものをまとめてみました。
 特集1は、二〇〇二年度マッキンゼー賞金賞を受賞した論考です。失敗を非難しないというのは、やや当たり前の感がありますが、ほめるのもかえってよろしくないというのはユニークな主張です。キーワードは「エンゲージメント」「ディサティスファイヤー」「バーン・レイジング」。
 特集2は、二〇〇二年度のノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの論考です。彼は行動経済学の第一人者として有名ですが、日本では彼の著作は翻訳されておらず、また行動経済学に関する書籍もいまだ少ないという状況です。キーワードは「計画錯誤」「認知バイアス」「外向的視野」「内向的視野」「帰属の誤り」「自己奉仕的帰属」「アンカリング」。
 特集3は、だれもがうなずく内容です。たしかに「ウィナー・ウォンツ・オール」(勝者は驕り、欲深くなる)は人の性とはいえ、本当に気をつけなければいけません。キーワードは「イカロスの翼症候群」。
 特集4は、日本ではあまり知名度は高くありませんが、欧米では常にマネジメント・グールーのベストテンに名を連ねる、ロザベス・モス・カンターの久しぶりの論考です。キーワードは「ハロー効果」「学習性無力感」。
 特集5は、「同僚への思いやり」がテーマです。日本企業では言わずもがなともいえる内容ですが、徐々にとはいえ、人材の流動性も高まり始め、ここに成果主義も加わると、ドライな組織風土も当たり前になるかもしれません。キーワードは「コンパッション」「意味の文脈」「行動の文脈」。
 組織には、その方向性を左右する主流派が存在する――。特集6も、日本人にすれば目新しい発見ではないかもしれません。ですが、これを組織行動学の立場から分析し、いかにマネジメントするかというアプローチはとてもユニークな試みです。キーワードは「増幅効果」。
 特集7は、ボストンとニューヨーク、そして現在はロサンゼルスといった大都市の治安をドラスティックに改善した、一人の警察官の物語です。いかに変革の精神を組織に浸透させ、そのムーブメントをだれにも止められないレベルへと引き上げるか。読み応えは十分。キーワードは「ティッピング・ポイント」。
 なお、前号でもお知らせしましたが、今号にドラッカーのインタビューの後編を掲載し、次号から未訳論文を順次連載していきます。
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