【事例1】 吉野家ディー・アンド・シー
吉野家を含めたチェーン展開をしている外食産業は、工場の生産ライン手法を導入しています。マニュアルがあるのでサービスや質が安定し、バラツキが無くなるためコストが抑えられ価格を安く出来るからです。また、多品種にわたる製品を作れるようにもなります。 過当競争のなか、他社は消費者のニーズに合わせ、さまざまな商品を持つことで毎日の集客率を安定させています。しかし吉野家は、商品が「飽きられる」という前提ではなく「飽きられない」という独自のコンセプトを立て、製品ラインの多様化にあえて背を向けることで独自のポジショニングを確保しました。 このユニークなポジショニングを維持し続けるために、さらなるオペレーション効率の追求、現場スタッフの教育(計量しなくても正確に具材や飯を盛ることができる、すなわち現場におけるスピード化など)によって、独自の組織能力を構築しています。 その結果、コモディティ化している低価格外食市場において、高いブランド価値、模倣困難性を築いているのです。
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【事例2】 任天堂のWiiとソニーのプレイステーション
プレイステーションは多数のキラー・コンテンツ(ソフト)、それに伴うコンテンツ・サプライヤー(ソフト販売企業)との独占契約、ハイスペックな製品、その独特の操作性などによって、参入障壁をつくり、ゲーム市場において圧倒的に有利なポジションを獲得しました。 また、このポジションをより強固にするために、顧客セグメンテーションによる主要顧客(若い男性)の特定とその深耕、ハイエンド・ユーザー予備軍の啓蒙によるアップサイドへの導入など、マーケティングの王道を展開しました。 しかし、そこには死角があったのです。プレイステーションが飽和状態になり、ニッチ市場に目をつけた任天堂は、ノン・カスタマー、すなわちゲームで遊ばない人たちの需要を掘り起こしました。そこには実は巨大な需要があり、ゲームをしないような人達にもゲームを身近なものにしたのです。 ソニーのプレイステーションとは異なる道を選択した結果、Wiiは新たなトレンドとなり、全世界で爆発的ヒットを起こしました。 なお、これまでイノベーションには体系的な方法論(言い換えるなら、ヒット商品の成功方程式)はないと言われていましたが、ブルー・オーシャン戦略はこの問題への道筋をつけました。
【事例3】 トヨタとホンダが強いわけ インテグラル化vs.モジュール化
なぜトヨタとホンダは、かつての日本製造業の輝きをいまなお放っているのでしょうか。かたや、GMやフォード、クライスラーのビッグ・スリーは自信を喪失してしまったのでしょうか。その大きな要因の一つは、製造プロセスの違いにあるようです。ビッグ・スリーの製造プロセスは、かの有名なフォード生産方式を原点とする「モジュール化」(パソコンの製造も同じです)といえます。一方、トヨタやホンダのそれは「インテグラル化」(すり合わせ)されています。 90年代前半から、インターネットのおかげで、製造業の世界ではモジュール化が支配的になります。アメリカのパソコン業界が世界的に優位に立つことができたのは、まさしくその賜物です。 ところが、モジュール化は万能ではありませんでした。実は、自動車をはじめ、テレビ、冷蔵庫などの耐久消費財、ハイエンド家電、知識集約的な財などは、むしろ「インテグラル化」のほうが向いているのです。 インテグラル化とは、すり合わせと言われるように、さまざまな職能部門、外部パートナーが協力しながら一つの製品をつくり上げていくプロセスです。ですから、取引コストは高くなりますが、複雑で、高水準の品質や機能性が求められる製品には、こちらのほうがフィットしているのです。しかも、継続的な学習がもの言う世界です。トヨタやホンダは、愚直にインテグラル化を踏襲した結果、現在のポジションにあるといえます。