メールに費やす時間を大幅に削減する5つの方法

マッキンゼーの分析によると、ビジネスパーソンは平均して就業時間の28%をメールに費やしているという。これは、1日に3時間近くもの時間をメールの確認と返信で奪われている計算だ。日々の業務に支障をきたすことなく、この非生産的な作業を効率化することはできるのか。本記事で示す5つの方法を活用することで、メールに投じる時間を50%以上節約できると筆者はいう。


 マッキンゼーの分析によれば、平均的な知的職業人は、メールを読んで返信することに1日の就業時間の28%を費やしている。米国の平均的な正規労働者は、1日に2.6時間もの膨大な時間をメールに費やし、120件のメッセージを受け取っている計算になる。

 果てしなく続くメール攻撃をしのぐ試みとして、ほとんどの知的職業人は、2つの極端な対処法のどちらかを選んでいる。一方は、受信トレイにあるメールをゼロにしておく派で、受信トレイを何としても常に空の状態に保とうとする。他方は、実質的に諦めている派だ。メールが受信トレイに入ったら、そのままずっとそこにある。

 この2つの極端な陣営を前にして、より中道をいくアプローチを提唱する一派もある。それは単に、メールをチェックする回数を減らすのである。

 そこで、有効性を犠牲にすることなく、メールに費やす時間を1日2.6時間より削減できて、しかもデータの裏付けのある方法があるかどうか、私が創立した会社ゼルバナ(Zarvana)のチームが調査に乗り出した。ちなみに当社では、データに裏付けられた時間管理術を教えている。

 調査結果は我々さえ驚く内容だった。現在メールに費やしている時間の50%以上、つまり1日に1時間21分を節約できることがわかったのだ。

 この不必要に時間を浪費している状況と、その時間を取り戻す方法を5つに分類して、以下に紹介する。

 ●過剰なメールチェックは1日に21分を浪費する

 平均すると、知的職業人は1日にメールを15回チェックする。時間に換算すれば、37分ごとだ。

 では、40分にも満たない時間内に返信が届くことを、大多数の人は期待しているのだろうか。答えは「ノー」だ。実際、1時間もしないうちに返信を期待する人の割合は、顧客・クライアントの場合は11%、同僚の場合は8%にすぎない

 ただし、約40%の人が約1時間後に返信が届くことを期待する。メールを37分ごとではなく、1時間ごとにチェックするように改めれば、1日のチェック回数を6回減らせる。

 それによって、どのような影響があるだろうか。ある調査によれば、中断後、たとえばメールチェックによる中断から、中断前の状況まで十分に回復するのに最長23分15秒かかるという。

 この調査結果の信ぴょう性を疑うわけではないが、節約時間を算出する目的から、我々はラフバラー大学のはるかに控えめな研究結果を採用する。その結果によれば、仕事を離れる前の状態に完全に戻るまでに64秒を要する

 受信トレイを確認することだけが、メールを「チェック」する唯一の方法というわけでもない。多くの人はメールが到着するたびにPCスクリーンの隅に表示される通知も読んでおり、そのたびに数秒を浪費している。

 これらの中断には、追加コストがある。ワシントン大学准教授のソフィー・リロイは、何が起きているかを次のように述べている。「タスクBをしようとしながら、まだタスクAについて考えているとき、その2つのタスクを同時に処理して、両方とも完璧な仕事をするための認知能力は、人間にはありません」

 したがって、余分に6回メールをチェックし、通知による中断を許容し、軌道に戻るのに時間をかけている結果、私たちは1日に合計21分を浪費している。

 ただし、解決策はシンプルだ。通知機能をオフにして、メールを毎時間チェックする時間枠(約5~8分間)をスケジュールに組み込めばいい。

 職務によっては、この解決策は実行不可能な場合がある。また、入ってくるメールすべてをうまく処理して、数分内に返信することに慣れている人には、大いに違和感を覚える解決策かもしれない。だが、この解決策を試した人の大半は、迅速な返信が不要であったことに気づく。

 ●満杯の受信トレイは1日に27分を浪費する

 多くの人の意見によれば、受信トレイからメールを移動する理由は、もはやない。なぜなら、一般的なメールアプリケーションの検索機能が十分に優れているため、数百のメールから、あるいは数千ものメールからでさえ、1件のメッセージを簡単に見つけられるからだ。

 その主張は正しい。ただし、部分的に正しいにすぎない。過去のメールを見つけるには、検索するのが最速の方法だが、満杯の受信トレイは別の理由で時間の浪費になる。

 あふれ返った受信トレイをチェックするとき、結局は同じメールを何度も読み返す結果になる。そうせざるを得ないのだ。つまり、メールがそこにあれば、読んでしまうのである。

 平均すると、知的職業人は受信トレイに200件を超えるメールをためていて、毎日120件の新しいメールを受信している。だが、そのうちの25%にしか返信しない。意識的に空にするプランがなければ、未読分が増え続ける。

 そして、受信トレイを1日に15回チェックして、各メールにざっと目を通すのに1件当たりわずかに4秒を費やし(平均的な長さのプレビューテキストを読むのに要する時間)、そのうちのたった10%を再読する場合(平均的なサイズのPCスクリーンに収まるメッセージ数に基づく推定)、毎日27分を浪費することになる。アーカイブ機能を利用していない少数派については、受信トレイを空にするために、毎日5分かけて手動でメールをアーカイブすることから始める必要があるので、節約できる時間数はさらに短いだろう(22分相当に近い)。

 どちらの場合も、対策は「シングルタッチ・ルール」だ。つまり、メールに1度目を通したら、「必ず」アーカイブするか、あるいは削除するのだ。

 このアプローチは、あとで対応する必要のあるメールなど特定のメールに関しては、理にかなっていないように思えるかもしれない。だが、メッセージを一読して後で対応する必要のあるメールは、もはや読む必要のないメールだ。そのメールは行動を必要とするものだからタスクとして扱い、受信トレイから「やることリスト」に移すべきなのである。

 ●メール整理とメール探しにフォルダを利用すると、1日に14分を浪費する

 知的職業人が返信を遅らせる確率は37%にのぼる。そのため、すでに読んだメッセージ探しは、メール処理作業の大きな部分を占める。

 ほとんどの人は、これに対処する手段として、さまざまなテーマ別、あるいは送信者別、あるいはメッセージタイプ別にフォルダを作成し、それに応じてアーカイブしている。平均すると、5日ごとに新しいメールフォルダが1つ作成され、手元には37のフォルダがあることになる。

 だが、キーワード検索と比較すると、このアプローチ、すなわちフォルダをクリックして必要なものを探すやり方は、時間が9%余計にかかる。また、共通演算子(たとえば“from:connect@zarvana.com”)を使った検索と比較すると、50%余計に時間がかかる。

 解決策の1つは、検索機能を使うことだ。もう1つは、メールと「やることリスト」の統合である。このような統合を利用すれば、メッセージをタスクに自動変換するに当たり、タスク固有のメール転送先・送信先アドレスが得られたり、メールアプリケーションに組み込まれている縮小版「やることリスト」アプリにメールを追加することが可能になったりする。

 これら2つの解決策を合わせて利用すれば、1日に14分を節約できる。

 ●マウスを使って、多くのフォルダにメールをアーカイブすると、1日に11分を浪費する

 前述の37のフォルダが、ほとんどのユーザーのメールアプリケーションの左側に積み重なって表示されており、その影響は単に、時間を何度も取るだけにとどまらない。メールに費やす総時間の約10%は、保存したいメッセージのファイリングに費やされるが、このプロセスには2つのフェーズがある。まずメールの保存先を決定するフェーズ、それから選択したフォルダにメールを移動するフェーズである。選択肢が多いほど、決定に要する時間が長くなる。

 ご存じの通り、メールを再度探し出すのにフォルダは必要ないのだから、本当に必要なフォルダ数はどれくらいか。我々の調査結果によれば、ほとんどの人は2つだけで事足りる。1つは、受信トレイに到着したときに一読したものの、さらに対応を要するメール用だ(いわゆる「アーカイブ」)。もう1つは、後日、読みたくなるかもしれないメール用だ(いわゆる「リーディング」)。

 いっそのこと、フォルダをゼロにしてもいいのだろうか。いや、受信トレイからメールを移動できるように、少なくとも1つは必要だ。

 フォルダ数を37から2に減らすことで節約される時間を算出するに当たり、我々はヒックの法則を採用している。この法則は、選択肢の数と意思決定の時間の間の数学的関係を説明する、心理学的法則だ。同法則によれば、37の選択肢からの決定は、2択からの決定よりも5倍の時間がかかる。

 メールファイリングの効率性と精度を改善する方法もある。自動ルールやフィルターを使うのだ。これにより、メールをドラッグしてドロップするときに、誤った場所にファイリングするリスクを回避できる。

 またキーボードショートカットを利用すると、マウスを使った場合と比較して所用時間が50%短縮される。たとえば、Windows Outlookのユーザーは3つのキー「control + shift + v」を同時に押した後、望ましいフォルダをリストから選択すれば、メールをファイリングできる。(G Suiteのユーザーは、ただ「v」を押すだけで望ましいリストを選択できる)。

 Outlookユーザーは「クイック操作」も作成できる。これにより、1組のキーボードショートカットを使うだけでメールを特定のフォルダに移動できるようになり、より多くの時間を節約できる。

 ●無関係なメールを読んで処理すると、1日に8分の浪費になる

 効率よくメールを使うためのサービスを提供するセインボックス(SaneBox)のデータによれば、全メールの62%は重要でないので、一括処理が可能だ。だが、一括処理にも時間がかかる。平均的な人は、「パーミッション・メーラー」(承認済みメール送信者からのメール、たとえばニューズレター)の20%を開封し、これらのメールを読むのに1件当たり15~20秒をかけ、1日に4分超を消費している。メール1件を削除するだけでも平均3.2秒かかり、合計すると1日に3分超を要することになる。

 これは小さいながらも重要な問題であり、迷惑メールをただ削除するだけでなく、配信先リストからメールアドレスを削除してブロックすべき理由になる。

 無関係なメールを個々に処理する習慣をやめるには、次のような3部構成アプローチを取ろう。

 まず、実際に利用しているニューズレター用に自動フィルタリングを設定する。次に、利用していない定期メールについては、配信先リストからメールアドレスを削除する。最後に、配信先リストから削除しようとしたが、受信トレイに入り続けているスパムなどのメールをブロックする。

 21世紀に生きる職業人にとって、メールは悩みの種になってしまったが、以下に示す5つを実践するだけで、メールは再び仕事効率化のツールになりうる。

・通知機能をオフにして、代わりにメールを毎時間チェックする。
・メールに1度目を通したら、必ず受信トレイから移動させる。
・メールを再度探すには、検索演算子による検索機能を利用する。
・フォルダは2つだけ設定し、ショートカットを使ってメールをフォルダにアーカイブする。
・無関係メールや重要度の低いメールを個別処理しない。

 いまこそ、習慣と直感に見切りをつけ、上記の調査結果に沿った措置を講じるときだ。そうすれば時間を取り戻し、最終的にはメールをコントロールできるようになる。


HBR.ORG原文:How to Spend Way Less Time on Email Every Day, January 22, 2019.

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マット・プラマー(Matt Plummer )
ゼルバナ(Zarvana)創立者。同社が提供するオンライン従業員トレーニングプログラムは、知的職業人を対象に、時間を節約するための習慣を身につけることで、生産性向上を促す。ゼルバナ創立前の6年間は、コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーから派生した会社で、非営利団体や財団法人、慈善家などを対象とした戦略・経営コンサルティング会社のブリッジスパン・グループに勤務していた。ツイッター(@mtplummer)でも発信している。