「行動」が「意識」を変える!
企業変革アプローチとしての「アクションセット」

分解スキル・反復演習型能力開発プログラムとは?

「戦略を立てたものの、実行できない」という悩みを持つ経営者は多いだろう。どうすれば組織を動かせるのか。「意識改革が重要」という声も聞こえるが、人の意識は簡単に変えられるものではない。リブ・コンサルティングの提唱する「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」のアプローチは、「まず行動を変えることにより、意識を変えていく」というもの。同プログラムの開発者である山口博氏に、変革に向けた実践的な道筋を聞いた。

意識が行動を変えるのではない
行動が意識を変える

――経営環境の変化は加速しています。企業はその変化を先取りして戦略の策定、実行につなげる必要があります。しかし、実際にできている企業は少ないように見えます。

リブ・コンサルティング
組織開発コンサルティング事業部
事業部長
山口博氏

1986年慶應義塾大学卒業。SAPジャパン人材開発部長、外資系企業人事部長、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。人事・人材開発・PMI領域のコンサルティングに取り組む。著書に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社)。ダイヤモンド・オンラインで「トンデモ人事部が会社を壊す」を連載中。日本ナレッジマネジメント学会会員。

 戦略を策定したものの、現場が動かないというケースを非常に多く目にします。たとえば、戦略とは整合的でない組織や制度を維持したままだったり、組織や制度の形が整ったけれども運用が追いついていなかったり。私は長年にわたって組織開発に関わる実行支援型のコンサルティングや人材開発に取り組む中で、さまざまな企業の課題を見聞してきました。多くの経営者は変革を実現したいと考えていますが、それが具体的な企業行動につながっていません。

――経営者が「意識変革」を叫ぶだけで、現場の反発を招いているケースも多いのではないでしょうか。

 人の意識は、誰かに指示されて変わるものではありません。他の誰でもない自分自身が「変わろう」と思わなければ、決して変わりません。

――経営者としては、社員の意識が変わるのをひたすら待つわけにもいきません。解決策はないでしょうか。

 実は、有効性が実証された方法があります。変革したい行動をパーツ分解して、根源的で行動全体に影響を及ぼすコアのパーツ行動を、反復演習により体得する方法です。私はこれを「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」と名付けました。年間100社がこのプログラムに参加しており、多くの企業が短期間で行動変革、ひいては意識変革を実現しています。

 意識変革はたやすいものではありません。真面目にやらせようとするほど抵抗感が生じるものです。これに対して、本プログラムは意識変革を前面には掲げていません。行動変革を先に起こすのが狙いだからです。といっても、難易度の高い行動や行動全体の変革を迫るものでもありません。パーツ分解した一つのコアとなる行動を反復演習することで、結果として意識が変わっていくのです。

図 意識変革よりも先に行動変革を起こす

――パーツ分解した行動とは、どのようなものでしょうか。

 シンプルな行動を繰り返し演習することで、ビジネス経験の長さやスキルレベルの高低によらず、誰でも短時間で体得できます。一つのパーツ行動、分解スキルを体得するのに要する時間は15分。短時間で達成感を得ることにより意識が変わります。意識が行動を変えるのではなく、行動が意識を変えるのです。意識が変われば習慣化されます。やがて、企業全体の意識変革という成果が生まれます(図)。

分解スキル・反復演習が
変革意識を醸成

――プログラムの具体的な内容をお教えください。

 「変革意識の醸成」「変革行動の実現」「変革影響力の発揮」という3段階で、それぞれ「基本スキル」と「展開スキル」に対応するプログラムが二つずつ、合計で12のプログラムが用意されています(表)。変革意識醸成プログラムは主として個人の変革を促し、変革影響力強化プログラムは主として組織変革を加速するプログラムです。特にマネジャーやリーダー層には基本スキルを修得した上で、展開スキルを体得することを推奨しています。

表 分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの基本プログラム

――プログラムの内容としては、演習がメインなのですか。

 9割が演習で、1割が解説です。解説といっても演習方法の紹介やモデルの提示のみで、理論や理屈についての説明はありません。理論が不要とは言いません。ただ、このプログラムの眼目は理論ではなく行動です。徹底的な反復演習を通じて、自らの身体で再現することができるようになります。

――演習の中身は、どのようなものですか。

 表中の「質問による合意形成」を例にとると、演習ではファシリテーターが四つの質問を行うというロープレを繰り返します。相手の応答に合わせて、四つの質問を効果的に繰り出せるようになれば、その人は1時間の会議で必ず合意形成を導けるようになるでしょう。レベルアップに伴い相手の意思を尊重するマインド、合意形成を大事にするマインドも醸成され、合意形成のための行動が習慣化されます。結果として、組織における意思決定の速度と質は格段に改善されます。

「洗い上げ質問」と「掘り下げ質問」
「示唆質問」「まとめの質問」

――四つの質問とはどのようなものですか。

 合意形成を目的とする会議をコントロールする手段が四つの質問です。提案者による発表後のプロセスを4段階に分け、ファシリテーターは各段階に対応する四つの質問によって会議をリードします。

 第1段階は「洗い上げ質問(拡大質問)」。提案内容に対する懸念点や意見などを参加者から聞き出します。ポイントは議論の応酬をしないこと。ひたすら、意見を洗い上げます。第2段階は「掘り下げ質問(限定質問)」で、前段階で提起された懸念点などの中から優先度の最も高いものを抽出します。

 第3段階は「示唆質問」です。たとえば、「リソースが足りないので提案は受け入れられない」という反対意見を述べた参加者に対して、ファシリテーターは「リソースを確保できれば、賛成しますか」などの問いを投げかけます。こうして、徐々に着地点に近づいていくのです。

 そして、第4段階の「まとめの質問」。ファシリテーターは再度「気になる点はありませんか」と尋ねた上で、条件付きであれ合意された内容を確認します。「決まったことに従え」と命令するのではなく、参加者それぞれが「納得して合意した」と感じられることが重要です。

――確かに、実践的なプログラムですね。

 別の「コーチング質問」というプログラムにおいても、理論の解説はしません。詳細は省きますが、コーチングのための五つの質問を効果的に繰り出すロープレ主体の演習です。相手のモチベーションを踏まえたコミュニケーションの意識が醸成され、それが習慣化されます。これも、行動が意識を変える演習プログラムです。

危機意識を持ち変革を求める企業が
プログラムの採用に動き始めた

――企業や団体における研修について、多くの経営者が「理論はわかったが、行動として再現できない」というフラストレーションを感じています。こうした課題への解決アプローチになりそうですね。

 変革が必要なのに、社員の行動が変わらない。そんな現状に対して、多くの経営者が危機意識を高めています。分解スキル・反復演習を採用する企業や団体が増えているのは、危機意識を持つ経営者が増えていることの証左といえるかもしれません。

――どのような企業がプログラムを採用しているのでしょうか。

 一例が、トヨタアカウンティングサービス主催のトヨタグループおよび関連会社の役員・管理職研修です。トヨタグループや関連会社の役員や管理職が一同に会して、演習漬けの研修を行います。多様なバックグラウンドを持つ参加者同士がロープレを繰り返す中で、互いのパフォーマンスを参考にしながら急速にスキルを高めています。

 そのほか、グローバルに事業展開する大手飲料メーカー、大手金融機関、地方銀行など変革に向けた取り組みを推進する企業からの依頼が多いです。福島県教育センター主催の校長マネジメント講座・教頭マネジメント講座でも採用されています。このプログラムには英語バージョンでも実施しています。海外でM&Aを実行した企業、あるいは海外進出を予定している企業向けに多くの実績があるほか、スーパーグローバルユニバーシティに選ばれた私立大学でも実施しています。

変革、成長を目指す日本企業に求められる
“アクションセット”への転換

――困難や課題に直面している企業や団体ほど、実践型のプログラムを求めているということでしょうか。

 変革を必要としている企業ほど、本プログラムへの関心が高いことは確かです。また、M&Aが典型的な例ですが、経営や組織の体制が大きく変化した後にプログラム実施を依頼されるケースも多い。PMI(Post-Merger Integration)プロセスを着実に進めるためには、「PMI100日プラン」などの計画だけでなく、統合プロセスを担うキーパーソンの言動が極めて重要です。そのキーパーソンが、合意形成やコーチングなどの実践的なスキルを身につけているかどうか。それはPMIの成否のみならず、統合された組織の将来を左右するでしょう。

 ただ、私自身は組織の置かれた状況に関係なく、このプログラムはごく普通のビジネスパーソンにとって有効と考えています。スキル向上の機会に恵まれなかった人もいるでしょう、十分なパフォーマンスを発揮できていなかった人もいるかもしれません。しかし、大多数のビジネスパーソンは組織に対する高い帰属意識を持ち、自ら成長したいと考えています。そうした人たちのパフォーマンス向上は、日本経済再生に向けた大きな課題です。「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」の普及を通じて、私はこの課題解決に貢献したいと考えています。

――日本企業がイノベーションを生み出し、成長するためにも個々の能力向上は欠かせません。

 身につけるべきスキルをパーツ分解して、誰でも簡単に反復演習できる分解スキル・反復演習型能力開発プログラムは、一人ひとりの行動を変えることにより、意識を変え習慣化し、変革を実現していくプロセスです。それがもたらすのは、いわばマインドセットから“アクションセット”への転換。日本企業の経営者が変革を実現できるか否かは、アクションセットの手法を駆使できるかどうかにかかっています。

 

記事内で紹介した「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」について、30題のドリルを中心にわかりやすく解説しているのが、山口氏の著書『チームを動かすファシリテーションのドリル』。「1日1分30日」のセルフトレーニングを行うことで、プレゼンや会議で結果が出せるよう構成されている。
>>>試読版をこちらからご覧いただけます

>>>詳細はこちら

 

 

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