ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶ
ベスト経営書2016の結果発表

今年も「ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016」の結果が発表された。2015年10月から2016年9月までに発行された書籍の中から人に薦めたいと思える経営書を3冊まで投票してもらった。シリコンバレー発の本が上位を占めた昨年とはまったく異なる傾向の書籍が並ぶ結果となった。


 今年も弊誌では、「ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016」を実施しました。この選書の対象となったのは、2015年10月から2016年9月までに発行された書籍。編集部が読者に「他の人に薦めたい本」「後世に残したいもの」と呼びかけ、3冊まで投票してもらいました。

ビジネスの課題を
経営学の知見をもとに考える

 1位に選ばれたのは、入山章栄著『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』。2位はアンジェラ・ダックワース著『やり抜く力』、3位はケヴィン・ケリー著『<インターネット>の次に来るもの』となりました。

順位 書名 著者名 出版社
1位  ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学  入山 章栄  日経BP社
2位  やり抜く力  アンジェラ・ダックワース  ダイヤモンド社
3位  <インターネット>の次に来るもの  ケヴィン・ケリー  NHK出版
4位  ザ・会社改造  三枝 匡  日本経済新聞出版社
5位  ソニー 盛田昭夫  森 健二  ダイヤモンド社
6位  「0から1」の発想術  大前 研一  小学館
7位  USJを劇的に変えた、たった1つの考え方  森岡 毅  KADOKAWA
8位  TED TALKS  クリス・アンダーソン  日経BP社
9位  ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか  山崎 繭加、竹内 弘高  ダイヤモンド社
10位  IoT時代のプラットフォーム競争戦略  加藤 和彦  中央経済社

 

 1位に選ばれた『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』の著者入山章栄氏は、前著『世界の経営学者はいま何を考えているのか』で2013年に3位に選ばれていましたが、最新刊も多くの読者から支持を集め、1位に選ばれました。

 読者からも「解を求めがちなビジネスパーソンに対し、思考の重要性を的確に伝えている(40代・男性)」「従来の学術的な経営学に比べ、ビジネス現場で起きている実際のケースを踏まえて事例考察している点が非常に理解しやすかった(40代・男性)」などの声が集まっています。

 早稲田大学ビジネススクール准教授である著者の入山章栄氏からは

 拙著で述べたように、経営学とは「ビジネス課題に『答え』を与えてくれる学問」ではありません。それでも複雑で不確実な世界で、みなさんは「意思決定」をしなければなりません。そのためには常に考え続ける必要があり、その「考えを深める軸」の一つとして、世界トップクラスの学者が生み出す知見を活かしてみては、というのが本書の狙いです。本書が、目の肥えたDHBR読者から高い評価をいただけたのは、この点に多くの方が共感して下さったからだと思います。


 とのコメントを頂きました。

 入山章栄氏は弊誌でも「世界標準の経営理論」を連載しており、「連載記事もそうだが、入山先生の論文は最先端の知見がわかりやすくまとめられていて、読んでいてとても腑に落ちる(40代・男性)」とのコメントも寄せられています。

努力は才能に勝るを実証する

 2位に選ばれたのはペンシルバニア大学心理学教授であるアンジェラ・ダックワース氏の『やり抜く力』。成功する秘訣は、生まれ持った才能ではなく、グリット(やり抜く力)であることを示し、これまでの「能力観」や「教育観」を覆す一冊でした。

 読者のコメントには「常々、仕事のできる・できないは『どれだけ目標に向かって頑張れるか』という意志の強さだと考えていたが、それをさまざまな調査により証明してくれた良本(30代・男性)」「社会人として学習を続けるものとして、子供を育てる親として参考になった(40代・男性)」とのコメントが寄せられています。

「継続は力なり」「努力に勝る天才無し」といった言葉に裏付けが与えれ、多くの人を鼓舞する内容であるとともに、単に続けるだけでは成果は出ないことも明確に示してあり、「いかにやり抜くか」の方法論まで提示してあります。

 3位に選ばれたのは『<インターネット>の次に来るもの』。IoTや人工知能など、近年のバズワードを読み解く以上の示唆に富み、この分野の書籍の中で、他に大きく差をつけました。

「これからの変化の道筋を示している。不確実性の高い昨今において一縷の灯のように感じた(40代・男性)」「単なるテクノロジーの進化だけではなく、思想の進化にまで触れている(50代・男性)」「技術進化がもたらす人の生活、社会の変化を将来像とあわせて語っている。人が活動する価値、存在する意味が何なのかを考えさせらえる良本(40代・男性)」など、読者からもこの本を強く薦めるコメントが多数集まっています。

11位~20位のランキング

順位 書名 著者名 出版社
11位  ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代  アダム・グラント  三笠書房
12位  「好き嫌い」と才能  楠木 建  東洋経済新報社
13位  影響力の心理  ヘンリック・フェキセウス  大和書房
14位  PDCAプロフェッショナル  稲田 将人  東洋経済新報社
15位  AI時代の勝者と敗者  トーマス・H・ダベンポート
 ジュリア・カービー
 日経BP社
16位  投資される経営 売買(うりかい)される経営  中神 康議  日本経済新聞出版社
17位  働く意義の見つけ方  小沼 大地  ダイヤモンド社
18位  確率思考の戦略論  森岡 毅
 今西 聖貴
 KADOKAWA
19位  最高のリーダーは何もしない  藤沢 久美  ダイヤモンド社
20位  成長企業の法則  名和 高司  ディスカヴァー・トゥエンティワン

 

 ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書は、読者の皆さんのご協力のもと、今年で4回目を迎えました。過去3回の1位~3位を振り返ると、それぞれの年で上位にくる書籍が扱うテーマが大きく異なっています。

【2013年】

順位 書名 著者名 出版社
1位  経営戦略全史  三谷 宏治  ディスカヴァー・
トゥエンティワン
2位  採用基準  伊賀 泰代  ダイヤモンド社
3位  世界の経営学者はいま
 何を考えているのか
 入山 章栄  英治出版

 

【2014年】

順位 書名 著者名 出版社
1位  ビジネスモデル全史  三谷 宏治  ディスカヴァー・
 トゥエンティワン
2位  「好き嫌い」と経営  楠木 建  東洋経済新報社
3位  第五の権力  エリック・シュミット他  ダイヤモンド社

 

【2015年】

順位 書名 著者名 出版社
1位  HARD THINGS
(ハード・シングス)
 ベン・ホロウィッツ  日経BP社
2位  How Google Works
(ハウ・グーグル・ワークス)
 エリック・シュミット他  日本経済新聞出版社
3位  ワーク・ルールズ!  ラズロ・ボック  東洋経済新報社

 

 今年のランキング結果を見て、皆さんはどのようなことを感じられたでしょうか。昨年は1位~5位までが米国の西海岸発の本で、起業や働き方がテーマのものが支持を集めました。しかし今年は、上位5冊のうち3冊が日本の書籍であり、20冊のラインナップを眺めてみても、経営学や経営者に焦点を当てたものが多く選ばれています。

 ビジネスの現場で直面する課題をいかに解決するか。組織をどのように変革するか。問題を解決するための最先端の知識や実践者の知恵を求める傾向が強く表れているように感じられます。今回のランキングは、これからの社会を変えようとする意志を持ったリーダーたちに役立つ知が、詰まっていると言えるかも知れません。

 詳しいランキングは弊誌の2017年1月号(12月10日発売)で詳細に紹介されるとともに、全国の約150書店で同書のフェアも開催されます。

 最後に投票にご協力いただきました読者の皆さまに篤く感謝申し上げます。