仕事の生産性を上げて1日6時間労働を実現しよう

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労働時間をより短く、より生産的にする方法

 私は、オーストラリアのメルボルンに拠点を置きイノベーションを支援するコレクティブ・キャンパスのチームとともに、2週間にわたり1日6時間労働の実験をした。就業時間が短くなったことでチームメンバーは必然的に、仕事の優先順位を適切に定め、仕事の邪魔を最小限に留めて、特に1日の始業後の2~3時間はより計画的に仕事をするよう迫られた。

 すると、チームは仕事の質も量も保つことができ、場合によっては向上することさえあった。精神状態が改善したとの報告や、休息の時間、家族や友人と過ごす時間、他の取り組みに費やす時間が増えたとの報告もあった。

 私がリンクトインでこの実験を発表すると、こんな書き込みがあった。「理論としてはすばらしいが、自分は6時間じゃタスクを処理しきれないな!」。これはまるで、すべてのタスクは同等だと言わんばかりである。パレートの法則にあるように、20%のタスクが80%の価値を生み出しているものだ。したがって、価値の高いタスクに集中すればいい。

 あなたの率いるチームが少規模でリソースが限られているなら、次に紹介するような生産性向上のテクニックを取り入れてはいかがだろうか。リーダーとしての役割は、成果を促進することであって、成果を出しているような気にさせることではない。このことを肝に銘じておこう。

 優先順位を定める
 パレートの法則に従い、従業員の強みとチームの目標に見合った、価値の高いタスクに集中する。

 削減する
 付加価値を生まないタスクを縮小または廃止する。手始めに、60分が通例の会議時間を30分に短縮し、通知をオフにし、メールのチェックを1回にまとめると非常に効果的だ。

 自動化する
 ステップごとのプロセスが決まっているタスクの場合、おそらく自動化が可能であり、人の手間を省ける。

 外部委託する
 自動化できない場合、委託もしくは外注できるかもしれない。あなたのチームは時給10ドルの作業をするために給料をもらっているわけではないはずだ。

 試してみる
 分析まひ状態に陥ったり、見当違いな事柄に力を注ぎすぎたりすると、多くの時間が無駄になる。マネジャーは、効果的な実験を行い、結果を測定し、その評価に応じて業務を設計することによって、時間の浪費を避けられる。

 始動する
 どんな方法でもよいので、自分のエンジンをかけよう。カレンダーに時間枠を確保する。1度に1つのことだけに取り組む。難しい仕事から先にやる。バイノーラル・ビート(左右の耳で周波数がわずかに異なる音)を聴いてみる。もしくは、ポモドーロ・テクニック――タイマーをセットして作業時間を分割し(25分間ごとが通例)、間に短い休憩を挟むという時間管理術――を取り入れてもよい。

現実的な期待事項を設定する

 従業員に即座の反応を求めるのをやめ、邪魔されない時間を設けてフロー状態に入れるよう後押ししよう。同時に、無分別に他者の邪魔をする行為を許容してはならない。

 私のチームは、簡単なルールを決めた。メンバーがヘッドフォンを装着していたら、待つことが絶対的に不可能である場合を除いて(もっとも、そんなことはほとんどないが)、外すまで絶対に邪魔してはいけない。

 そうすることで職場でのストレスが軽減されることが、カリフォルニア大学のグロリア・マークの研究で示されている。その結果によれば、米陸軍の文民職員にメールを5日間禁止したところ、自分の仕事をより適切に管理できていると感じ、ストレスのレベルが下がったという。

努力して得る価値があるもの

 フローに入りやすい職場をつくり、勤務時間を短くすれば、生産性と成果を高める環境が整うだけではない。従業員のモチベーションが上がり、ストレスが減ると同時に、人材の獲得率と定着率も向上することになる。そして、オフィスの外の世界で起きている、さまざまな面白い出来事――つまり「人生」を生きることに、もっと時間が使えるようになるのだ。

 組織はデジタル変革に多大な資金を投入している。しかし従来の働き方を変えるだけで、それよりはるかに費用対効果の高い、飛躍的なメリットをすぐにでも得られるのだ。

 たしかに、「気持ちはよくわかるが、うちの組織ではうまくいくはずがない」と応じるほうが楽だろう。だが、時には努力して手に入れるべきものもある。従業員に仕事でベストを尽くしてもらい、充実した人生を送ってもらうよう万全を期す努力には、間違いなく価値があるはずだ。


HBR.ORG原文:The Case for the 6-Hour Workday,  December 11, 2018.

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スティーブ・グラベスキ(Steve Glaveski)
オーストラリアのメルボルンを拠点にイノベーションとスタートアップを支援するアクセラレーター、コレクティブ・キャンパスの共同創設者でCEO。ポッドキャスト、フューチャー・スクウェアド(Future Squared)を主宰。著書にEmployee to Entrepreneur(未訳)がある。

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