論文セレクション

「PURPOSE(パーパス)」関連論文

『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』では毎月、さまざまな特集を実施しています。ここでは、最新号への理解をさらに深めていただけるよう、特集テーマに関連する過去の論文をご紹介します。

 2019年3月号の特集タイトルは「PURPOSE(パーパス)」である。

 自前主義の価値創造には、もはや限界がある。ただし、価値の共創を実現するのは容易ではない。外部の経営資源(ヒト・モノ・カネ・チエ)は、単に報酬で動いてくれるわけではなく、自分の貴重な資源を投じるにふさわしい相手であるか、意義ある協働ができる存在なのかが問われている。ミレニアル世代や優れた才能を惹き付けるためにも、組織の「パーパス」を掲げ、外部に積極的に発信すべき時代がやって来た。

 ネスレ日本代表取締役社長兼CEO高岡浩三氏へのインタビュー「経営者の仕事はパーパスを提唱し、実現すること」では、ネスレがなぜパーパスに着目したのか、それは経営にいかなる影響を与えているのかを聞いた。世界最大の食品会社ネスレは、創業150周年を迎えたことを契機に「生活の質を高め、さらに健康な未来づくりに貢献します」というパーパスを掲げ、社内外で積極的に発信している。同社の経営原則であるCSV(共通価値の創造)を実現するうえで、株主や従業員をはじめ、ネスレの全ステークホルダーと基本的な価値観を共有する必要があると考えたからだ。ネスレ日本代表取締役社長兼CEOの高岡浩三氏は、こうした価値観を組織の内外に浸透させ、その実現に向けた取り組みを着実に進めることは、経営トップの責任であると語る。

 BIOTOPE代表取締役社長兼チーフストラテジックデザイナー佐宗邦威氏による「組織の『存在意義』をデザインする」では、組織のあるべき姿を語る際のキーワードである「ミッション」「ビジョン」「バリュー」、そして「パーパス」の定義とその役割を明確にしたうえで、「生きた存在意義」を設計し、浸透させるパーパス・ブランディングの方法論が示される。かつては、自社でヒト・モノ・カネ・データ・チエというあらゆるリソースを囲い込むことで競争優位を築き、オペレーションを徹底的に効率化することが、企業の価値創造を実現した。しかし、消費者のニーズが目まぐるしく変化する時代に勝利を収めるには、囲い込みの戦略では限界がある。組織の内と外を隔てる障壁をできるだけ下げて、外部から経営資源を呼び込むことが価値創造につながるのだ。では、組織外のリソースをどうすれば引き付けることができるのか。組織の「存在意義」に賛同・共感・自分ごと化してもらうことがカギを握る、と佐宗邦威氏は言う。

 ミシガン大学ロススクール・オブ・ビジネス名誉教授ロバート E. クインらによる「パーパス・ドリブンの組織をつくる8つのステップ」では、パーパスに基づく組織変革の方法論が示される。人は経済的理由だけで動くのではない。仕事の意味を見出した従業員は、活力やひたむきさを内に秘めてはいられない。見返りを求めずに努力し、より多くの仕事をより高度にこなすようになり、彼らの成長は留まることなく伸びていく。このパワーをうまく活用すれば、組織全体を変革することができる。ここでいうパーパスは、単なる高邁な理想に留まらない。財務の健全性や競争力に影響を与えるものである。

 プレス・ゲイニー最高メディカル責任者トーマス H. リーらによる「組織の『やり抜く力』を高める」では、優秀な人材が集まり、チームワークに多くを依存する医療業界を例に「組織のやり抜く力」がどのように発揮されるのかについて論じる。優れた功績を上げる人々は、さらなる改善を目指してたゆまぬ努力をするなど、並外れたスタミナを持ち合わせている。このような人を、筆者たちは「やり抜く力」があると表現する。やり抜く力は、情熱と粘り強さという2つの重要な要素でできている。情熱は、自分の仕事に対して湧き上がる興味やパーパスから生まれるものである。そして粘り強さは、逆境に直面した時の回復力や、持続的な改善にひたむきに打ち込む力に表れる。

 中川政七商店代表取締役会長中川政七氏へのインタビュー「私たちは『こうありたい』を追求し続ける」では、会社の存在意義を見つめ直す重要性が語られる。中川政七商店は、1716(享保元)年に創業して以来、手績(てう)み手織りの麻織物を扱ってきた奈良の老舗だ。現在は、工芸をベースに生活雑貨や衣料品などの企画・製造・卸・販売を手掛けており、「中川政七商店」「遊 中川」「日本市」といった人気ブランドを持ち、全国に50以上の店舗を展開している。全国的な知名度を得たのも、会社の存在意義を見つめ直し、中川政七会長が「日本の工芸を元気にする!」という「旗印」を掲げたことがきっかけだった。

 ストラテジック・ファクターズマネージングディレクターのグラハム・ケニーらによる論文を集録した「パーパスの実際」では、HBR.orgからパーパスをテーマとする記事を選び、パーパスの意味を正しく伝えるとともに、パーパス推進に前提となるものを示し、そのための法と文化の改革について触れる。そして、最後に収益との関連についての調査を紹介する。

Special Topics PR
最新号関連論文」の最新記事 » Backnumber
今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
世界のエグゼクティブが注目する話題の新シリーズEI Emotional Intelligence  知識から感情的知性の時代へ 待望の日本版創刊
定期購読
DHBR2019年3月号『PURPOSE(パーパス』発売!
  • facebook
  • Twitter
  • RSS
アクセスランキング

スペシャルコンテンツ