地理で読むスタートアップとイノベーションの趨勢

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米国シリコンバレーと言えば、いくつもの世界的企業を輩出した地域としてよく知られている。実際、世界中の有望な人材とベンチャーキャピタリストがそこに集まっていた。ただ、「クリエイティブ・クラス」の研究で著名なリチャード・フロリダによると、地理的な視点から分析した結果、スタートアップとイノベーションを取り巻くかつての常識が覆り始めているという。本記事では、データをもとに4つの大きな変化が示される。


 ハイテク系のイノベーションやスタートアップの多くは、シリコンバレー、シアトル、ニューヨークといった米国の豊かなエコシステムで生まれ、そこに集積している――我々はそう考えてしまいがちである。しかし、米国経済が持つ創造的側面の多くがグローバルなものになっているように、ハイテク系スタートアップもいまや、グローバルに存在している。

 上海や北京、ムンバイやバンガロール、そしてロンドン、ベルリン、ストックホルム、トロント、テルアビブに至るまで、世界各地のスタートアップのエコシステムはここ10年ほどで劇的に成長した。米国の多くの都市、たとえばサンフランシスコ・ベイエリア、ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルスなどは、いまだ国際的な存在感があるが、世界の他の都市も急速に勢いを増している。

 これが、我々の最近のレポートである「国際スタートアップ都市の台頭」(Rise of the Global Startup City)の主な内容であり、世界のスタートアップとベンチャーキャピタル(VC)の状況を記録している。60ヵ国の300を超える国際都市圏で2005年~2017年に実施された、10万件超のベンチャー投資案件を分析したところ、スタートアップとVCをめぐる4つの大きな変化を発見した。

・大幅な拡大(ベンチャー投資の件数と投資額の大幅な増加)
・グローバル化(世界全体、特に米国外でのスタートアップとVCの成長)
・都市集中化(スタートアップとVC投資の都市部への集中、特に大規模かつ国際的な都市)
・勝者総取り(発展する都市と他の都市との差の拡大)

 起業家、VC投資家、労働者、経営者に加え、世界中の国や都市の政策立案者にとって、これら4つの変化は大きな示唆となる。

(次ページ以降は、『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』を定期購読中の方のみご覧いただけます)

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