Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

デジタル時代の戦略的アウトソーシング(前編)

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ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)とは企業の組織機能の一部を外部に委託して運営するサービスの総称であり、これまでも多くの企業で導入されてきたが、デジタル時代においては、これまでとは異なる新たな利用価値を持つサービスとなってきている。デジタル時代に必要な事業変革における最大の課題にフォーカスした、まったく新しい戦略的なBPOの活用方法をアクセンチュアでは提唱している。

ヒトという経営資源は本当に活用できているか?

写真左から、山形 昌裕、植野 蘭子、進藤 千晶

 デジタル時代の競争環境のなかにあって、デジタルを活用した全社的な変革が必要とされていることについてはいまさら紙面を割いて説明するまでもないでしょう。デジタル時代の事業環境を表すキーワードはいくつかありますが、筆者らはオールドエコノミーの世界とデジタルエコノミーの世界の最たる違いは、流れる時間の速さにあるものと考えています。カナダのトルドー首相は先般のダボス会議で「いまほど時間の流れが速い時代はない。しかし、後世から見れば、いまほど時間の流れが遅い時代もないだろう」と述べています。物事の変化のスピードが加速度的に高まっていることをうまくとらえた表現だと思います。時価総額10億ドル超えに必要な時間の推移を見ても、それらが加速的に短くなっていることがわかります(図1)。

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出所:サリム・イスマイル他、『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』、2015年

 迅速な企業の動きは、大胆かつ迅速な経営資源(ヒト・カネ)の投下に支えられていると言っていいでしょう。デジタル変革に取り組む多くの企業は、変革後の姿やビジネスケースを描くことに注力しています。一方、筆者らのこの2~3年のコンサルティング経験に基づけば、実は変革における真のチャレンジは変革に伴い必要となる大胆なリソースシフト、特に人的リソースのシフトをいかに実現するかにあるということを痛感しています。

 たしかにデジタルの時代は、Scarcity to Abundance(「希少な経営資源をいかに内部に囲うか」から、「豊富に存在する外部経営資源をいかに活用するか」へのパラダイムの転換)と言われるように、世界的なカネあまりの状況、デジタルテクノロジーの進展によって自社にないテクノロジーを低コストで獲得することが可能な状況は、これまでに比べれば、経営の自由度が飛躍的に高まったことを意味しています。しかしながら、ヒトという資源についてはそこまでの変化が起きているでしょうか?

 当然のことですが、既存の社員はみな、既存事業を維持拡大するための役割を担って業務にあたっていますし、組織はその規模が大きければ大きいほど慣性の法則が強く働くものです。そうした結果として、変革を社内で推進するリソースは、既存事業最優先の原則のなか、ほぼ全員が兼務状態で集められたプロジェクトチームである場合が多く、過小な推進力のなかで限定的な範囲・速度での変革を進めていくといった事例をよく見ます。変化が緩やかに進むオールドエコノミーの世界では成り立ったこの漸進的手法は、高速で進むデジタルエコノミーの世界では通じないことは言うまでもないでしょう。

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