【特別レポート】

本質的“デジタルトランスフォーメーション”への
挑戦

デジタル時代の新しい競争原理と変革の要諦を捉える

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モニター デロイトは2018年11月26日、「本質的“デジタルトランスフォーメーション(DX)”への挑戦」と題したセミナーを開催した。当日は、DX先進企業としてシスコシステムズ代表執行役員社長のデイヴ・ウェスト氏、日本HP 専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏、さらにアカデミアからは早稲田大学ビジネススクール教授の根来龍之氏が登壇し、グローバルな経営の観点からデジタル化の本質について議論を交わした。

モニター デロイトが本格始動

 セミナーを主催した「モニター デロイト」は、デロイトの戦略コンサルティング部門のサブブランドである。グローバルでは21カ国、2500名のプラクティショナー(専門家)がいる。日本では200名ほどの体制で2018年6月に本格始動した。

 モニターとは、マイケル・ポーターをはじめ、米ハーバードビジネススクールの教授陣が1980年代に設立した戦略コンサルティングファームで、2013年にデロイトのグループに入った。

DXの推進にあたって問い直すべき
4つのキークエスチョンとは

 モニター デロイトによる講演では、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む意義、目指すべき姿、変革のスコープとそのアプローチ、推進体制などについて、これまでの支援実績も踏まえて方向性を提示した。

モニター デロイト
パートナー 首藤佑樹氏

 最初に登壇したのは、パートナーの首藤佑樹氏。「DXとは何か」、その捉え方は企業や個々人によって異なるのが現状である。顧客接点のデジタル化を挙げる人もいれば、顧客体験の向上を目的にVR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用することを指す人もいる。RPAによる業務の自動化がDXだと考える人もいる。しかしながら、「テクノロジーを活用したこれら個々の改善活動はDXの一面に過ぎない。DXとは何か、改めて考える必要がある」と首藤氏は切り出した。

 DXとは骨太な中長期方針の下、顧客価値と社内変革の両面から非連続な成長を目指す取り組みである。変革にあたっては、まず以下の4つのキークエスチョンを問い直すべきだと首藤氏は言う。1つ目は「DXに取り組む大義名分はあるか?」。2つ目は「DXに取り組むと顧客にとってどのようなメリットが生じるのか?」。3つ目は、「顧客価値の変化に合わせて、社内業務やインフラは具体的にどう変わるか?」。そして4つ目が、「DXを推進する組織をどう構築し、どのように人材を登用・育成すべきか?」。

 「大義名分とは何なのか?」について、首藤氏は次のように説明する。

 「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・不透明性)の世界では、一時的に競争優位を築いたとしても、それを持続させることが難しい。目先の技術を活用し、目の前の競合と戦うだけでは中長期的な優位は築けない。だからこそ、メガトレンドが重要になる。国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)など経済・社会を取り巻く大きなトレンドを意識して、10年以上の時間軸でビジネスの在り方を考えていくことが重要だ。その中で、デジタル化が求められる理由を定義づける必要がある」。

 大義名分を見極めるには、デジタル技術の活用にとどまらず、ビジネスの在り方における変革の必然性をメガトレンドやSDGsの視点から検証すればいい。たとえば、新規事業を考える際も、資源・環境問題、少子高齢化、政情不安といった大きなうねりのなかで、その事業を立ち上げる意義をはたして説明できるのか、自問するのである。

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