持続的成長に向けた日本企業の変革実践論
――書評『企業変革の教科書』

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マインドフルネスやパーパスなど
新潮流を網羅的に解説

 経験に基づく分析は、本書後半の、変革のプロセス(How)や変革者の条件(Who)で、さらに活きてくる。現在、著者が主宰している経営者人材の育成フォーラムや、ブランドコンサルティング会社でのアドバイザー業務、複数社での社外取締役としての活動などを通じて実感したことも反映されて、後半はより実践的となる。

 また、著者の知識の厚みから示される、ビジネスにおける新潮流の解説も、本書の魅力である。簡単に列挙すると、マインドフルネス、パーパス・ブランディング、コンシャス・リーダー、サイバー・フィジカル・システム、ネット・フューチャーバリューなどが、世界で注目される背景を解説している。

 さらに、著者独特の考え方も示唆深い。例えば、GEの元CEOのジェフ・イメルトは株式市場から厳しい評価を受けて退任に追い込まれたが、著者は、短期志向の市場に問題があるのかもしれないとして、それを防止する工夫(グーグルの議決権なしの株式発行のように)を施すべきだったのではないかと問題提起する。その他、東芝、P&G、IBM、韓国LGグループなど、企業変革が一旦は成功しながら、その後暗転する事例についても、ユニークな視点から分析している。

 そして、マッキンゼーとBCGという2つの戦略コンサルティング会社で活躍した経験を元に、顧客の立場からするとどちらを選んだらいいのか、マッキンゼー元代表の大前研一氏がなぜ退任を迫られたかなど、“中の人”の実力者だったからこその見方が随所に披露されていて、読み物としても面白いのである。

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