自分の思い込みで素晴らしいアイデアを諦めるな

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「クリエイティブな人に、どうやってそんなことを思いついたのかと尋ねると、誰もが少し後ろめたい気持ちになる。なぜなら、実際には何もしていなくて、単に物事が見えただけだからだ。それはしばらくすると、ごく自明のことのように思えてくる」と、スティーブ・ジョブズは1996年にテクノロジー雑誌『WIRED』に語っている。「クリエイティブな人は、自分の経験と結びつけて新しい物事を生み出すことができるからだ」

 アイザック・アシモフは1959年、同じ考え方をあてはめて、「チャールズ・ダーウィンとアルフレッド・ラッセル・ウォレスがいかにして、それぞれ独自に『自然選択による進化論』にたどり着いたか」を著述している。2人とも探検旅行をして、植物と動物の生態の多様性を観察した。2人とも、トマス・ロバート・マルサスの『人口論』を読み、『人口論』が生態の多様性を説明するのに役立つ可能性があることに気づいた。「いったんこのコネクションが成されると、あとは自明になる」とアシモフは著した。彼の記述によれば、生物学者トマス・ヘンリー・ハクスリーは、「『種の起源』を読んだ後、『このことに気づかなかったとは、私はなんて愚かなんだ』と叫んだと思われる」。

 ミネソタ大学から発表された論文によれば、自明なことに気づくことは「創造的プロセスの5段階」の重要な一部である。

「すべてが明晰に見えるとき、あなたの解決策は自明でシンプルであるように思える。だが実際には、シンプルに見える理由は、すべてのピースがしかるべき場所に収まり、あなたの解決策を照らし出すからだ」と、同論文は述べている。

 ただし、これにはもう1つの側面がある。すなわち「自明な」答えがほとんどの人にとって自明ではない、という点だ。なぜなら、たいていの人がそもそも、問題について考えていないからだ。

 アイデアは、問題を認識して斬新なソリューションを探す人にしか訪れない。ダニエル・スミスがその著作How to Think Like Einstein(未訳)の中で説明しているように、「間違った問題を抱えていたら、アインシュタインでさえ解決策を見つけられなかっただろう。可能な問題、つまり、当初の期待とは異なる独創的なソリューションが可能な問題に取り組む必要がある。その偉大な問題を見つけるには、特にソリューションが自明に思えるときには、熟慮が必要だ」

 ついに、私はアイデアを前に進め、Givzを共同創設した。そしてこの経験が、パートナーやステークホルダーからの問い合わせに備えるのに役立った。

 最近、某社の代表者の不安を和らげる必要があり、私は、シンプルに聞こえるアイデアが、実際シンプルであることを説明していた。

「本当ですか」と相手は言った。「それなら、すごく簡単ですね」

その通り。


HBR.ORG原文:Don’t Give Up on a Great Idea Just Because It Seems Obvious, December 07, 2018.

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アンドリュー・フォアマン(Andrew Forman)
オンライン慈善寄付プラットフォームGivzの共同創設者。

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