スタン・リーに学ぶ、創造的な人材のマネジメント

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世界的出版社マーベル・コミックの伝説的編集者であったスタン・リーは、自身が極めて優れた功績を上げたのみならず、数々の著名なクリエイターを世に送り出した人物である。『SUPER BOSS』の著者シドニー・フィンケルシュタインは、リーのマネジメントを研究する中で、リーダーが創造的な人材をマネジメントするうえで重要な3つの教訓を導いた。


 スタン・リーは、仕事をしていないアーティストを見るのをひどく嫌っていた。著名なコミック作家にして出版社のトップであり、2018年11月12日に95歳で他界したスタンは、仕事をしていないアーティストは退屈し、退屈しているうちに競争に勝てなくなる、と考えていた。

 彼のもとで働くアーティストたちが生活費にも困っているのかもしれないと思うと、個人的にいってもたってもいられなくなった。だからスタンは、時に会社に不利益をもたらしても、アーティストにはたえ間なく仕事がくるよう気を配っていた。

 有名な逸話がある。あるときスタンは、会社が必要とする以上の仕事を、社内で仕事を待つアーティストたちに割り当てた。その結果発生した在庫の存在については、当時の上司だったマーティン・グッドマン[訳注:のちにマーベル・コミックスとなるコミック会社の社長で、リーの叔父]には伝えなかった。いつか機会が訪れたら使うつもりで、それらのコミックを戸棚にしまい込んだのである。

 その戸棚を開けたグッドマンは、アーティストたちを全員解雇するようスタンに指示した。その指示には従ったものの、スタンに言わせれば、それは間違った判断だった。彼らに発注するのは、人材への投資として必要なことだというのが、スタンの主張だった。

 筆者は、著書『SUPER BOSS』の執筆にあたり、スタン・リーを研究した。DHBR誌の論文「スーパーボス:部下の力量を引き出す技術」(2016年10月号)で説明した通り、スーパーボスは、ただ単によいボスというだけではない。スーパーボスの能力は、組織を築き上げ、売上げ目標を上回ることにとどまらない。才能を見出し、育成し、次々と世に送り出すパイプラインを構築する能力に長けているのである。

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