エゴは優れたリーダーシップの敵である

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組織で昇進するにつれて、当然ながら地位や権力が増していく。それは仕事がやりやすくなる利点をもたらす反面、独りよがりのエゴを助長することにもなりかねない。周囲の人たちは、これまで以上にあなたの話に耳を傾け、頻繁にうなずき、つまらない冗談を大げさに笑ってくれるようになるからだ。筆者は、こうしたエゴがリーダーシップの妨げになると指摘し、それを防ぐための3つのヒントを示す。


 ビール醸造のグローバル企業であるカールスバーグ・グループCEOのセースト・ハルトは、就任初日にアシスタントからカードキーを渡された。それは、20階の奥にある彼の執務室に直行できるよう、エレベーターが他の階には止まらないようにするカードだった。

 ピクチャーウィンドウのある執務室からは、コペンハーゲンの絶景が望めた。これらは彼の新しい地位に付随する特権であり、社内における彼の権力と重要性の証だった。

 セーストは、その後の2ヵ月を新たな職責に慣れることに費やした。だが、その2ヵ月の間、勤務時間中はほとんど人を見かけないことに気づいた。エレベーターは他の階には止まらず、同じ20階で働いているのは選り抜きの幹部陣に限られていたので、彼がカールスバーグの他の従業員と交流することはめったになかったのだ。セーストは20階の奥まった執務室から、階下にあるオープンフロア型オフィスの空いているデスクに移ることを決意した。

 その変更について尋ねられたとき、セーストはこう説明した。「従業員に会わなければ、従業員が何を考えているかを知る機会はありません。それでは組織の実状を正確に把握できず、組織を効果的にリードすることが不可能になります」

 この話は、上級の地位に就くことで独りよがりになっていくリスクを回避しようと、1人のリーダーがいかに積極的に取り組んだかを示す好例だ。そして、このリスクはシニアリーダーにとってリアルな問題だ。

 要するに、昇進するほど、リーダーのエゴが膨張していくリスクは大きくなる。エゴが肥大化すればするほど、独りよがりの泡の中にいることに満足するようになり、同僚や企業文化、そして最終的にはクライアントとの触れ合いを失うリスクにいっそうさらされる。このダイナミクスについて、段階を追って分析しよう。

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