「いつ」やるべきかをダニエル・ピンクが解明する
――書評『When 完璧なタイミングを科学する』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第87回は、ダニエル・ピンク氏の最新書『When 完璧なタイミングを科学する』を紹介する。

パフォーマンスは「いつ」に支配されている

「本書にとりかかったとき、タイミングが重要であることは承知していた。だが一方で、タイミングは不可解なものであることも承知していた。(中略)今では、すべてがタイミング次第だと思っている」

 著者のダニエル・ピンク氏がこう述べるように、本書は、タイミングや時間管理にかかわるさまざまな文献を基に、人は何をどのタイミングで行うべきかを解き明かした1冊である。

 そもそも、ピンク氏といえば『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』(2006年、三笠書房)や『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』(2010年、講談社)など、新しい考え方を掲げ、世界的ベストセラーを輩出してきた作家である。

 そんな彼が最新刊で着目したのが、「When(いつ)」であり、タイミングを科学するという目新しいテーマだから、注目せざるをえないだろう。世の中のビジネス本は「How(どのように)」であふれているが、彼はHowだけでは不十分だと感じて、Whenを調査、研究、実践してきた。

 内容は、大きく3部構成から成り、第1部が「1日」、第2部が「開始・終了・その間」、第3部が「同調と思考」である。それぞれの最後には、「タイム・ハッカーのハンドブック」として、ピンク氏自らが実践してきた「エクササイズ」についての記載がある。

 本書には、興味深い指摘が幾つもある。まず、1日という時間を見てみると、人のパフォーマンスには潮の満ち引きのように、ピーク→谷→回復というような周期性があるという。

 例えば、ポジティブな気分は午前中に高まり、午後に落ち込み、夕方に再び高まるという研究事例が紹介されている。そこから本書は「日常生活の背後には隠れたパターンがある」と指摘する。

 他にも、幾つかの論文を基に、人の気分には周期性があると明らかにし、それを仕事やビジネスの論点へと落とし込む。ここで幾つか挙げておこう。

 ・1日の早い時間帯の方が注意深く、分析能力は午前中の遅い時間~正午頃にピークに達する。
 ・投資家やアナリスト向けの収支報告(決算説明)において、朝一番の開催では「かなり楽観的でポジティブ」だったのに対して、次第にネガティブになり、昼頃に少し上向きになり、午後になると「ネガティブが再び色濃くなった」。
 ・デンマークの学生200万人を対象とした4年分のテストからは、午前中に受けた生徒の方が午後に受けた生徒よりも点数が良かった(コンピュータの台数制限により一斉に受けられないため)。

 このように、どうやら同じ仕事や作業だったとしても、いつやるかによってパフォーマンスに差が出ることは間違いなさそうだ。本書は、集中力の落ちる午後の時間帯に「インスピレーションやクリエーティビティーに関連する仕事に時間をあてるべきだ」といったように、解決策についても触れている。

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