豊かな人生を送るために
極端に「ほどほど」であれ
平日は(あるいは休日も)早朝深夜まで働き、オフになるとハードな運動を行ったり、健康を徹底的に意識した食事を摂取したりする。仕事にもプライベートにもとにかく全力で臨む人はいるが、彼らの人生は豊かだと言えるのだろうか。筆者は、何事にも極端な姿勢で臨む生き方ではなく、何事にも「ほどほど」を追求する生き方の意義を提唱する。
たいていのオフィスには、フルマラソンに向けてトレーニングをしたり、10日間静かな場で瞑想する計画を立てたり、あるいはキリマンジャロを登頂しようと考えたりしている人がいる。いったい、なぜなのだろうか。そういう人に限って、残業手当が出なくても休日もフルで働いていたりする。
極端なほど仕事熱心なうえ、プライベートでも極端派を自認する人は珍しくない。政治活動や育児、食事やフィットネスなど、すべてに突き詰めて取り組むタイプだ。
極端派の親は、競争力のある子どもを育てることに過度なほどの労力をつぎ込み、自分の親世代以上に、子どものために時間をやりくりして飛び回る(それでも足りないと自責の念に駆られている)。人生のバランスを求めてスポーツを始めれば、マラソンランナーのようなハードなトレーニングをするようになる。食を突き詰める人は、はるばる遠国から取り寄せた高価なシード(種)を食べ、野菜でつくった複雑な緑色のドリンクを飲んで、1日をスタートさせる。
ネット上でたえ間なく比較されることに気を取られ、抑うつ傾向にある若いミレニアル世代は、「パフォーマンス測定デバイス」たるスマートフォンから目を離すことができない。無理もない。そもそも親世代がフォロワー数やリツイート数を競い合い、ネット上の仲間グループを自慢の種にしているのだから。
少しペースを落としてマインドフルネスを取り入れる試みにさえ、野心的な目標が付きまとう。競争心をあおる男性向けヨガ「ブロガ(Broga@)」を提供するジムなどは、その好例だ。

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