職場の男女差別には、
女性みずから立ち上がるべきなのか

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女性が職場でリーダーの立場に就くケースはまだまだ少ない。組織の構造上、男性が優遇されている現実があることは確かであろう。この課題に対しては、組織の構造そのものを変えるべきだという主張と、シェリル・サンドバーグが『LEAN IN』で説いたように、女性が自力でその課題に立ち向かうべきだという主張がある。筆者らの研究によると、後者のやり方が当たり前になることで、女性はみずからを苦しめる可能性があるという。


 リーダーの座の大半を男性が占めるいまの世界では、女性をないがしろにして男性を優遇する制度や構造を変えることに、焦点を合わせるべきだろうか。あるいは、女性が個人レベルで使える出世術を身に付けることに重点を置くべきだろうか。

 我々の研究では、この問題を探った。前者のメッセージ、すなわち構造と組織こそ変える必要があるという主張は、ここ数年で勢いを増している。だが、後者のメッセージは長らく多くの人を奮起させ、やる気にさせてきた。ソリューション重視型かつ個人主義的で、とりわけ米国人には受けがいい。米国人の場合、社会問題への解決策として「DIY(Do-It-Yourself:自助型)ソリューション」を高く評価する傾向があるからだ。加えて、いますぐ女性の役に立つように見えるメリットもある。社会が変わるのを数十年、あるいは数世紀待つよりもずっといい、というわけだ。

 我々は、次のような疑問を抱いた。「DIYアプローチ」推進派は、女性が自力で問題解決できると主張することで、「女性こそ問題を解決する当事者であり、それが女性の責任だ」と暗示していることになるのではないか。

 我々はまた、DIYアプローチが潜在的に危険な結論を導き出すリスクもはらんでいる、という仮説も立てた。危険な結論とはすなわち、「女性のリーダーが少ない状況を招いたのは、女性自身である」というものだ。

 これら2つの仮説を検証すべく、一連の実験を企画して、実施した。その結果はまもなく『ジャーナル・オブ・パーソナリティ・アンド・ソーシャル・サイコロジー』誌に発表される。本稿ではその概要をお伝えしたい。

次のページ  「構造変革的アプローチ」と「DIYアプローチ」、それぞれの効果とは?»
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