発想法をイノベーションして
個の力が相乗するチームになる

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最新号9月号の特集テーマは、「発想するチーム」です。いつの時代もそうですが、課題が積み重なっていくように感じられる今日は特に、イノベーションが強く必要とされています。特集では、より革新的なアイデアを生み出せるように、ブレインストーミングやデザイン思考など従来の発想法の課題を指摘した上で、どうすれば良いかを示しています。

ブレストはチームで実施すると
負の集団力学が働く

 発想法に正解はなく、凝り固まった脳機能を柔軟にしたり、視点を変えたりすることで、個人および組織の考え方を活性化していくことに意義があります。今号の特集はその一環です。

 特集1番目の論文では、ブレストという発想法自体をイノベーションします。解答ではなく「問い」を追求するもので、ブレストの方法をリフレーミング(再構築)しています。

 従来のブレストは個々人が行うには効果的ですが、チームで実施すると負の集団力学が働くと指摘します。その弊害を克服して、言いにくい考えを出しやすくしたり、遠慮がちなメンバーの発言を促したりする工夫が提案されます。人間の心理を考慮した方法論です。

 端的に言えば、「声の大きな人」の意見ばかりが通るようでは、チームでブレストを行う意味がない、すなわち新たなアイデアが出てこない、ということです。これに対して、ルールを決めて、短時間で効果が出る方法を示し、実践的です。

 筆者は、『イノベーションのDNA』をハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・クリステンセン氏らと共に著したハル・グガーゼン氏。斯界の専門家だけに、既存のブレストの課題を丹念に掘り起こし、分析し、創造的な問いを集団で出し合った後に解決策を探っていく方法を開発します。多くの組織で実践して、検証しています。

 特集2番目の論文では、デザイン思考の課題を克服する発想法として、生物の進化に学ぶ「進化思考」を提言します。過酷な環境を生き延びてきた生物の世界には、系統(文脈を把握して適切な形態を選ぶ)、共生(生態系を把握し周囲と共生する)、淘汰圧(よいアイデアに絞り切るために捨てる)といった知見があり、これらはアイデアを生成し、スクリーニングする思考プロセスに活用できるとして、多くの事例とともに実践法を説明しています。

 筆者の太刀川英輔氏はデザイナーで、多くの卓越した実績があります。こうした発想法や実績の背景には、著者の思考の骨太さがあり、著書『デザインと革新』(パイ インターナショナル、2016年)に表れています。

 ご自身の経験をもとに、「仕事で壁に直面したら何をすべきか」「アイデアが生まれるポイントはどこにあるか」「センスを磨くにはどうすべきか」といった課題解決のための思考を積み重ねて、論理的に提示されているのです。その中に、今回の「進化思考」に進化する考え方の核をいくつか発見することができます。

 発想したアイデアを、いかにチームや企業で、商品や事業として結実させるか。これこそがビジネスでは重要で、特集ではその方法をこの2つの論文に続く論文で考えています。

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