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次世代のイノベーションがなぜ
シンガポールから起きるのか

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今、シンガポールでは次世代のイノベーションが次々と誕生している。7月初旬、アクセンチュアはシンガポール経済開発庁との共催で、アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京において「Japan-Singapore Innovation Corridor」を開催。シンガポールの充実したイノベーションエコシステムやコラボレーションのあり方などを紹介した。このイベントで来日したアクセンチュア・ストラテジーASEAN地区責任者らに、シンガポールにおけるイノベーションの魅力とそれを支援するアクセンチュアの取り組みを聞いた。

国を挙げてイノベーションを後押し
しているシンガポール

――シンガポールがなぜ、日本企業のイノベーション創出に向いているのでしょうか。

横瀧 崇
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
M&A統括 マネジング・ディレクター

シンガポールイノベーション事務局
アクセンチュア戦略コンサルティング本部において、業種横断でM&Aの戦略から価値創出までを一貫して支援するM&Aプラクティスの日本統括マネジング・ディレクター。近年ではデジタルケイパビリティを獲得するための買収、Digital M&Aに注力しており、日本企業のデジタルトランスフォーメーションを支援している。また、シンガポールイノベーション事務局として、シンガポールにおける日本企業のイノベーション創出活動の支援を行っている。

横瀧 シンガポールでは2014年から、高齢化や公共交通の混雑など都市の共通課題を最新のICT(情報通信技術)で解決し、人々が暮らしやすい環境をつくる「スマート国家構想」がスタートしています。その具体的な手段として、シンガポール政府は「イノベーションを生み出すエコシステムづくり」や「官民のコラボレーションの推進」「多様な人材プールの確保」などを進め、イノベーション創出の環境づくりに力を注いでいます。

 シンガポール政府は、こうした活動を推進するため、外国企業との協業にも積極的で、現在、イノベーションチームや地域統括本部をシンガポールに置いているグローバル企業は200社以上。それらの企業が国やスタートアップとコラボレーションして新しい事業の実証実験を行ない、数多くのイノベーションを生み出しています。

 また、シンガポールはRegulatory Sandbox(規制の砂場)として、イノベーションを起こすために必要な規制緩和を政府が行っているのも、大きな魅力です。

――具体的にはどのような例がありますか。

横瀧 例えば日本の主要都市部では自動運転車を公道で走らせることはできませんが、すでにシンガポールでは規制が緩和され、自動運転のバスやタクシーが公道を走っています。また、至るところにセンサーネットワークを張り巡らして、人やクルマの動き、気象情報などあらゆるデータを収集し、交通渋滞の解消や災害防止などに役立てる取り組みも始まっています。

 医療分野では患者の個人情報を一定のルールの下に開放し、医療機関がその情報を活用してより暮らしやすい社会にするという取り組みに対して政府がコミットしています。

 このようにシンガポールは政府の後押しによって、様々なデータを活用した実証実験がとても行ないやすい。自国内のデータ活用についても海外企業にオープンで協力的です。規制や個人情報の取り扱いが厳しい日本ではできないことにもチャレンジしやすいといえるでしょう。

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