Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

「CASE」が自動車産業にもたらす
脅威とビジネスチャンスとは

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日本企業は「海外発のビジネス」にトライを

――“CASE”の進展が脅威とビジネスチャンスを生み出すことはわかりましたが、日本企業にとってもチャンスになりますか。

川原 もちろん、そうなるでしょう。日本は、少子高齢化や過疎地におけるいわゆる「移動弱者」など課題先進国と言われています。にもかかわらず、既存の事業者や消費者を守る規制が厳しく、それは必要ではあるものの、アイデアをすぐに事業にまでスケールできないのが難点です。一部では自動運転の実証実験も行なわれていますが、交通インフラが整っていない中では事業化は難しいでしょう。

 ですから、日本企業は「海外発のビジネス」にトライしていかなくてはいけない。「CASE」の新しい動きは海外から生まれているし、新規ビジネスもそこで立ち上がっているからです。前述したように、日本でリーダーシップを取ってビジネスを創出するには多くの時間と労力がかかる。海外に出ていってそこのリーダーとコラボレーションし、ビジネスを創出するほうが順当なアプローチでしょう。

――日本の産業をリードしてきた国内自動車メーカー(OEM)は弱くなってしまうのでしょうか。

北村 海外でビジネスを始めることと、日本のOEMが弱くなることとは直接はひもづかないと思います。例えば、自動運転しかり。これが日本から始まるかというと、おそらく米国か中国といった国の特定の都市からになるでしょう。大事なのはビジネスやサービスの標準化モデルを先に作っておくということで、海外市場でアライアンスをつくり、それを日本に逆輸入すればいいわけです。

 逆にいうと、そうしたチャレンジをしていかないと、他社が作ったルールや標準化を受け入れざるを得なくなります。海外でのビジネスモデルづくりにチャレンジしていくことが、逆に日本の産業を守ることにもなるわけです。

素早い意思決定と
トライ&エラーの繰り返しが成功のポイント

――日本の自動車関連企業はどのように臨むべきですか。

川原 “CASE”が言われ始めてから2年も3年も経っているので、何が起こりそうなのか、何をやるべきなのかは相当わかってきていると思います。しかし、実際にどうやるのか、どう事業化するのかがまだ十分にイメージできていないため、意思決定もできない状況ではないでしょうか。

 海外でトライするには「慣れない海外市場」「慣れない海外リーダーとのパートナーシップ」「慣れないサービス業」という、高いハードルを3つ越えなくてはならない。まずは、小さくても始めてみることが大事。それを繰り返しているうちに、やるべきことが明確になり、意思決定も早くなっていくと思います。

北村 意思決定を早くするには、別組織を立ち上げて権限を移譲し、トライしやすい態勢を整えるのも1つの方法でしょう。サービスは、時間をかけていいものを造る製造業とは異なり、トライ&エラーを繰り返して成功につなげていくことが大切です。

(取材・文/河合起季 撮影/西出裕一)

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