Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

「CASE」が自動車産業にもたらす
脅威とビジネスチャンスとは

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先行するのはモビリティの「コネクティッド化」

――バリューチェーンの中で収益増加が期待される領域は?

北村 現在のモビリティビジネスのグローバル市場規模は約550兆円、うち車両販売による収益が約330兆円、残りの約220兆円は車両の平均利用年数10年間を想定した際に、得られる各サービスの収益です。

 今後さらなる収益増加が期待される領域は、保険やファイナンス、メンテナンス、リユース、エネルギーなどで、そこから新しいビジネスモデルが生まれる可能性があります。例えば、走り方によって保険料が変わる保険や、EVと住宅、蓄電池を組み合わせたエネルギーマネジメントなど。

 ある米国のベンチャーは、位置情報を活用し、月々の返済が滞るとエンジンがかからなくなるカーローンを開発しました。今までローン審査が通らなかった人にもローンを提供することが可能になります。

――自動運転車が中心の世界になれば、事故や故障のリスクが減り、メンテンスや保険の需要が下がるのでは。それでも収益の増加は見込めるのでしょうか。

北村 たしかに、そういった可能性も考えられますね。ですが、そうした世界が何年後に訪れるかはわかりませんが、少なくとも2020年代前半ではないはず。それまでの間、コネクティッド化が先行して進み、それに伴い保険、メンテナンス、ファイナンスなどで新しいビジネスが生み出されていくと思われます。

川原 EVだけでなく、既存のクルマもコネクティッド化し、2030年頃には世界で10億台規模になると言われている車両普及台数がすべてIoT技術を搭載するクルマになっていきます。また、これまで個人の所有するクルマはだいたい5%くらいの時間しか稼働していないと言われていますが、事業用になると稼働率が大幅にアップします。大量かつ高い稼働率のクルマをしっかり管理し、収益性を最大化するような使い方をサポートすることが価値を生むようになります。 さらに、クルマの情報だけでなく、移動する顧客の情報を捕捉できるようになるため、移動中の車内でモノのやり取りから決済まで完結できるような新しいビジネスが生まれてくるかもしれませんね。

――自動運転車の普及は、モノ(荷物)を運ぶ物流から始まるのでしょうか。

川原 そうかもしれませんが、モノを運ぶことは人を運ぶことよりもハードルが低いとは言い切れないでしょう。人はサイズも性質もあまり変わりませんが、モノはサイズや性質、適正温度、危険度などが大きく異なります。それぞれの特性に合わせる必要があるため、サービス設計としては難しい面があるからです。また、モノを運んでいるから安全性が低くてもいいかというと、乗員安全の観点ではそうかも知れませんが、歩行者や他の車両など相手を傷つけてはいけない点では乗用用途と同じです。

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