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「エコシステム」を事業戦略に
どう活用していくべきか

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アクセンチュアが今後の成長の鍵を握る事業戦略の1つとして注目しているのが「エコシステム」だ。同社が実施したグローバル調査の結果を見ても、多くの国内外企業が「エコシステムの形成は自業界変革の重要な手段」と位置づけている。ただ、現在潮流となっているエコシステムと、日本企業が考えるそれには多少のズレがある。今後、企業は「エコシステム」をどのように捉え、事業戦略にどう活用していくべきなのか。

業界の枠を超え、得意分野を
持ち寄って連携する時代に

――なぜ今、「エコシステム」が注目されているのでしょうか。

山村 創
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
マネジャー

京都大学大学院卒業後、2012年アクセンチュア入社。戦略コンサルティング本部にて金融業(銀行・クレジットカード)を中心に新規事業戦略立案、全社・事業戦略立案、業務改革等、幅広い分野の戦略プロジェクトに従事。

山村 我々の考えるエコシステムの定義は、「異なる強みを持つプレーヤーが集まり、共同体として事業を営むことによって新たな市場を創り上げ、先行者利益をシェアし合うこと」です。今、こうしたエコシステムが既存の業界の枠を超えた連携によってディスラプション(創造的破壊)を起こしています。

 高度成長期のように産業が固定化された時代には、業界の中心的な大企業が盟主となり、特定の分野に特化した機能を組み合わせるエコシステムが強みを発揮していました。この場合は、系列化や業務・資本提携、M&Aなどの手法が有効となります。

 しかし、今は大企業といえども単独で新たな市場を創り上げるのは難しい。新しい市場を生み出すようなイノベーションを起こすには、多様なプレーヤーがそれぞれ得意とする領域の技術やノウハウ、知見を持ち寄るエコシステムが必要です。

 そもそもエコシステムという言葉は、取りまとめ役となる企業、技術やアイデアを提供する企業、資金を出す企業といった様々なプレーヤーを巻き込んで事業が成長していく様子を自然界の生態系になぞらえたもの。大きなプレーヤーが小さなプレーヤーを"飲み込む"のではなく、各参加企業の独立性が保たれていることがポイントです。こうすることで硬直化を防ぎ、変化に強い連合体ができあがります。当然、参加する企業には独自性の高い強みが求められます。

 日本企業はこうしたエコシステムについての見識を再確認し、事業戦略にうまく取り入れていくことを考える段階に来ています。

村上 これまでのように、やらなければいけないことが明確に見えていて、それに取り組んでいけば、長期的に成長できるとわかっているなら、M&Aなどによる内製化が有効でしょう。しかし、業界の垣根が消えるだけでなく、マーケットの変化が速い環境下では、固定的なケイパビリティ(組織的な能力)やアセットを買って内製化するのが必ずしも正しいとはいえないケースが増えていくと考えられます。

 さらに、スピード感を持って先行者利益をとりにいったり市場に参入障壁をつくったりするエコシステムは、これからの重要な事業戦略になるはずです。

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