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「AIと人間の協働」が成長の鍵
業務プロセス再構築と教育が課題に

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アクセンチュアが実施したグローバル調査「雇用・働き方の未来(テーマは「人間とAIの協働」)」で、日本の労働者は「AIとの協働に向けた意識改革と行動が海外に比べて遅れている」ことが明らかになった。今後、著しい労働力不足が待ち受けている日本が他の先進国並みの経済成長を続けるにはAIとの協働が欠かせない。日本の経営者や労働者は、その効果を最大限に引き出すために今何をすべきか。

2030年には約900万人の
労働力が不足する日本

宇佐美 潤祐
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
人材・組織管理
マネジング・ディレクター

東京大学卒、ハーバード大学院修了。戦略コンサルティング業界において20年のキャリア。人材・組織変革が専門領域。大手SPA企業において経営変革・経営者育成機関担当役員として4年間の実務経を有する。人材・組織変革以外にも、戦略策定、ボード改革、オペレーティングモデル構築、M&Aデューデリ・PMI等幅広い経験を有する。東京海上火災保険、ボストンコンサルティンググループ等を経て2017年よりアクセンチュアの人材・組織変革統括責任者。

――アクセンチュアの「雇用・働き方の未来」に関するグローバル調査は2015年から毎年実施されていますが、今回のテーマはどのようなことですか。

宇佐美 2015年は、AI(人工知能)が雇用機会を奪うのか、それとも雇用を作り出すのかというAI脅威論的な問題意識が発端でしたが、今回は脅威論の段階は超えて「人間とAIの協働」がテーマです。ここでいうAIは、コグニティブテクノロジー(認知技術)、アナリティクス、ロボティクスを含む広義のAIを指しています。アクセンチュアの推計によると、AIとの協働がうまくいけば、2022年にはグローバル(全業種横断)で収益を38%拡大、雇用を10%増やすことができます。とくに日本は2030年に約900万人の労働力不足が予測されていますから、「人間とAIの協働」は不可欠と考えています。

大崎 AI時代に求められる人材について調査した前回(2017年)は、テクノロジーを幅広く捉え、将来に向けてこうしたテクノロジーの進展にどうキャッチアップしていくか?つまりリスキルに焦点を当てていました。ですが、我々がインテリジェントテクノロジーと呼ぶコグニティブ、アナリティクス、ロボティクスの導入がここ1年で急速に進み、具体的な業務や働き方に影響を与える段階に入ったと認識しています。こうした環境変化を踏まえ、今年はより具体的にインテリジェントテクノロジーとの協働の仕方、これを踏まえた雇用や仕事、教育のあり方に着目して調査・考察をしています。

――調査の概要について教えてください。

宇佐美 調査対象は11ヵ国(日本、オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、スペイン、英国、米国)、対象者は消費財から金融まで幅広い業種の経営者1201人(うち日本人100人)、労働者1万527人(同1038人)。実施期間は2017年9~11月です。

 結果として、経営者・労働者ともにAIの戦略的重要性を理解しつつ、同時に不安も覚えていることがわかりました。AIとの協働に必要な新たなスキル習得を課題と捉え、取り組みを始めた段階といえるでしょう。「AIの進歩を踏まえて社員の再教育への投資を増加させる」と答えた経営者は60%、「AIと協働するために新たなスキルを習得することが重要」と答えた労働者は68%もいます。

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