SDGs(持続可能な開発目標)に
企業はどう取り組むべきか
――書評『ビジネスパーソンのためのSDGsの教科書』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第81回は、大手シンクタンクである日本総合研究所の足達英一郎氏、村上芽氏、橋爪麻紀子氏の共著書ビジネスパーソンのためのSDGsの教科書を紹介する。

ESGとSDGsはどうつながるのか

「ESGとSDGsはどうつながるのか?」。機関投資家向けに上場企業のESG(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)面の調査を行なっている著者たちが、しばしば受ける質問である、という。

 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2016〜2030年に達成すべき17の環境や開発に関する目標で、2015年に国連総会で採択された。地球環境や気候変動に配慮しながら、持続可能な暮らしや社会を営むため、世界各国の政府や自治体、NGO、NPO、民間企業、個人などに共通した目標である。

 冒頭の質問に対する著者たちの答えは、「ESGは企業の取り組みのプロセスであり、SDGsはその取り組みのゴールと考えればよい」というものである。

 本書は、企業がなぜESGやSDGsを考えた経営をしなければならないか、そのためにはどのように経営をすべきか、先進する国の政府や企業は実際いかに取り組んでいるかなどを調査し、提言を行なっている。

 よく知られた動きで言えば、世界の機関投資家は、ESGを重要な投資判断基準にしている。資産運用残高世界2位のノルウェー政府年金基金-グローバルは、SDGs達成の支持を明言し、脱化石燃料投資を実施している。売上高の30%以上を石炭から得ている企業または活動の30%以上が石炭に関する企業への投資を中止・凍結するとして、対象企業67社(うち日本企業6社)を2016年に公表した。

 世界5位のオランダ公務員年金基金は、2020年までの達成目標を定めた責任投資方針に、持続可能性のための投資を加え、投資額を増やしている。世界7位のカリフォルニア州職員退職年金基金は2014年からESG投資を積極化しているが、2017年には米国にある風力発電会社の株式80%を取得するなど投資規模を拡大している。日本でも年金積立金管理運用独立行政法人が2017年、投資先選定のために、ESGと女性活躍推進に関する独自インデックスの導入を発表している。

 企業の側から見れば、資金調達という面では、ESGやSDGsを考えた経営は有利に、考えない経営は不利になるという傾向が出始めているのだ。

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