マスクとバフェットが再燃させた、
企業戦略をめぐる40年越しの論争

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先日、イーロン・マスクとウォーレン・バフェットという2人の世界的経営者が、ツイッター上で議論を交わしていた。両者のやり取りを読み解くと、それは経営学の世界で40年越しの論争が繰り広げられている、普遍的な問いにたどり着くという。


 先週発表されたテスラの四半期決算報告で、CEOのイーロン・マスクは「堀は無駄」と述べた。これはバークシャー・ハサウェイの会長であるウォーレン・バフェットへの挑戦状だ。

「堀」とは、バフェットが後追い企業との競争を制するための防御策を言い表すときに用いる言葉だ。「侵入してくる敵に対する防御が堀だけなら、長くはもたないでしょう」と、マスクは続けた。「大切なのは、イノベーションの速さです。それこそが、競争力の根本的な決定要素です」。

 バフェットは受けて立ち、バークシャー・ハサウェイの株主会議で「堀」の概念を擁護した。それに対してマスクは、皮肉たっぷりのツイートで応戦した。

 この論争は、ツイートで行われていることを除けば、新しいものではない。2人の億万長者が公に言い争うのを見守るのは面白いが、彼らの異なる見解は、過去半世紀で最も影響力のある2つの戦略概念を、ほぼ完璧に表現しているのだ。

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