外国暮らしの「深さ」が
自己意識をより明瞭にする

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グローバル化が進んだいま、海外で学んだり働いたりする人はますます増えている。異文化に触れることにはさまざまなメリットがあると思われるが、筆者らは特に、自己意識の確立に重大な役割を果たすと仮定し、詳細な研究を行なった。その結果、外国暮らしの「幅」(暮らした国の数)ではなく「深さ」(暮らした累計期間)がより大きな影響を与えることが判明した。


 グローバル化が進む現在の世界では、ますます多くの人が外国で暮らし、働き、また学ぶことを選択している。そして、このトレンドはよいことであるように思われる。社会科学の諸研究によれば、国際的な経験には、創造性を高めグループ間のバイアスを減らしキャリアの成功を促す効果があるからだ。

 我々は、外国暮らしの心理的効果について理解を深めるために、国際的な経験には自己意識を変える効果があるかどうか、効果があるとしたらどのように変えるのかを分析することにした。具体的には「自己概念の明瞭さ」、すなわち、自分自身に対する理解がどの程度「明瞭に確信を持ってなされ、自分の中で一貫しており、時間の流れに左右されない」かに注目した。

 自己概念の明瞭さは、精神的充足ストレスへの対処能力職務遂行能力など多くのメリットに関連している。だが、この明瞭さがどのように育まれるかについての研究は、極めて限られている。

 大多数の研究では、転職や失恋などの過渡的な経験は自己概念の明瞭さを低下させるという結果が出ている。だが、我々5人の執筆チームは全員、これまでの人生のある時点で外国暮らしを経験し、その結果、自己意識がより明瞭になったと感じていた。したがって外国暮らしは、自己概念の明瞭さを向上させるという点において、特殊な過渡的経験と言えるのではないかと考えた。

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