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デジタルM&Aにおける
ビジネス・デューデリジェンス(後編)

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多くのグローバル企業が、「すでに大規模な創造的破壊に直面」するなかで、デジタル・トランスフォーメーションの実現に向けて活動しており、デジタル・ケイパビリティの獲得を狙ったM&Aも活発化させている。デジタルM&Aの買収ターゲット企業を発見し、買収検討を進めることに合意した後のビジネス・デューデリジェンスにおいて、どのように対象会社のケイパビリティを見極めるのか。「後編」では、ケイパビリティ評価の4つのステップのうち、「2.ケイパビリティの競争優位性評価」「3.ビジネスケース策定」「4.ケイパビリティ棄損リスク評価と回避策策定」について詳述する。

ケイパビリティ評価―2.ケイパビリティの競争優位性評価

 対象会社のビジネスの仕組みを理解し、固有のケイパビリティを特定したら、次にケイパビリティの競争優位性を評価する。

 デジタル企業と言ってもさまざまなビジネスモデルがあり、個々の対象会社の特性に応じてフォーカスすべきコンポーネントは異なるが、ケイパビリティの競争優位性評価は、①既存の重要ケイパビリティの有効性②ケイパビリティの維持・強化の実現性――の大きく2つの観点から行う必要がある。

①既存の重要ケイパビリティの有効性

 1つ目の観点は、対象会社が持つ既存のケイパビリティが現時点でどのような強みを持つかの評価である。言い換えれば対象会社が現在ユーザーやエコシステム参加者に提供している価値が競合プレーヤーの提供価値と比較してどの程度魅力的かを評価するということである。

 たとえば最近日本でも市場が成長期を迎えつつある駐車場シェアリングビジネスを例にしてみる(図1)。駐車場シェアリングビジネスは、ユーザー(ドライバー)が空き駐車場を探して予約できるという利便性と既存の時間貸しパーキングより大幅に低価格という経済性をバネに普及してきた。ある意味では先行して普及していた従来型のコインパーキングの不便さがユーザーだけでなく駐車スペースのオーナーにとってもわかりやすいコントラストとなった。

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出所:アクセンチュア

 当初はベンチャー企業数社によって市場が立ち上がったが、現在は大企業の参入も相次ぎ市場は成長期を迎えている。そうしたなかで、参入各社にとって勝ち残りのための第一のカギは駐車ニーズがあるエリアでいかに多くの駐車スペース(アセットオーナー)を確保できるかであり、当面の重要コンポーネントは「駐車スペース確保」であると考えられる。その上でユーザーが使いやすい予約システムを提供し、いかに囲い込んでいくかが競争上の重要なポイントになると想定される。

 既存の重要ケイパビリティの有効性を評価するうえでは登録済駐車スペース件数やその伸び率などの指標を競合他社と比較することが考えられるが、特に競合の新規参入が相次ぐ市場の成長期においては評価指標の数字だけでなく、参入企業各社が持つ新規参入のドライバーにも着目する必要がある。 新規参入各社が「駐車スペース確保」のために活用しようとする参入ドライバーは図2の通りであると考えられる。各社がそれぞれのドライバーを活かすことで短期的にどのようなペースでどの程度の駐車スペースを確保し得るか、想定されるインパクトを試算する。

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出所:アクセンチュア
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