ドラッカーの言うMBOを今度こそ実現できるか?
――書評『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第77回は目標達成について具体的方法に掘り下げた、クリスティーナ・ウォドキー著OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法を紹介する。

働きがいが重視される時代にこそ
目標設定が重要となる

 人はなぜ働くのか。何をもって働きがいがあると感じるのか。

「働き方改革」はご存じのとおり、単に休暇を取りやすくしたり、時間管理の個人裁量の度合いを高めたりするだけのものではない(それはそれで、とても大切なことだけれど)。その根源を成すドライバーが不可欠である。

 すでに1950年代、ピーター・ドラッカーはその問いについて一つの答えを出していた。それがMBO(目標による管理)である。

 知識労働者が結果を出す過程で何を考えているかは、本人の頭の中にしかない。その過程を他人が知ることはできない。だから目標を押し付けるのではなく、本人に目標を考えさせ、それに向けた努力を本人に行なわせるというものである。

 ただし、その目標は個人が勝手に決めるものではない。成果とは、自らの強みを生かして組織にどのような貢献ができるか、である。そしてその組織は、社会にどのように貢献できるかによって存在意義が決まる。

 個人の目標と組織の目標が、社会への貢献につながっている。そのリンクが見えるからこそ、働きがいにつながるのだ。

 とはいえ、現実にMBOを実行しようとすると、悩ましい点が噴出する。そもそも的確な目標を設定できているか。正直なところ、市場の成長が著しい場合には、規模とスピードが何より重視されるため、個々人の自主性は後回しにされやすい。事業部門として数字を求められている中で、目標が短期的な売上数字に取って代わる例は多々見受けられた。

 また、いくら自主性を重んじるからといって、個々人のプロセスにマネジャーがまったく関与できないのも問題である。チャンスを逸し、リスクを見逃すだけでなく、当人の目標達成をサポートするタイミングを逸することにもなりかねない。

 そんなこんなで、MBOは本来の意味で普及しきれないままになっていた。

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