Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

デジタル時代の消費者獲得に
日本企業はどう取り組むべきか

――「アクセンチュア2018デジタル消費者調査」から見える機会と課題

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ビジネス分野で活用が広がるAR

――AR/VRについては、どのような利用が広がっていますか。

 調査結果を見ると、「訪問する場所についてもっと知りたいとき」「新しい技術やテクニックを学ぶとき」「服がどのように合うか試したいとき」など、AR/VRに興味を持つ様々なシチュエーションが挙がっています(図表8)

 ARは、家庭よりもビジネス分野から活用が広がるでしょう。例えば、自動車メーカーでは、仮想の世界でクルマを操作したり、装備を見たり変えたりすることができるスマホアプリの開発が進んでおり、クルマの選び方や購入の決定方法に革新をもたらす可能性があります。

 クルマのような大きな買い物については、これまでインターネットの活用は技術的に限界がありましたが、それがARによって大きく幅が広がりました。自動車をはじめ、住宅や家具など、手に取ることができない大きいものから順にARサービスが出てきています。

 一方、VRについては、いまはゲーム中心ですが、スポーツ観戦やコンサートなど、エンターテイメントの領域で期待されています。ただ、技術的にまだ進化の途中で、現状では大きなゴーグルが気になるし、解像度もまだまだ期待値に達していません。しかし、4K・360度ビューが遅延なく見ることができるくらい技術が進歩すれば、非常に早いスピードで普及すると思います。

マネタイズポイントの設計が重要

――こうしたデジタル時代の消費者を獲得するために、日本企業はどのような取り組みをするべきでしょうか。

 今回の調査結果から、日本企業への取り組みに向けて3つの要諦が浮かび上がります。1つは「リアルとデジタルを融合した新たな顧客体験の構築」。2つめは「スペックよりも、ハイパーパーソナライズによる差別化を強化」、3つめは「ビジネスモデル全体を踏まえたマネタイズポイントの設計」です。

 特に、サービスを楽しむことが必ずしもお金を払うことにつながらないデジタル時代の消費者に対峙するためには、3つ目のマネタイズポイントの設計は、非常に重要だと考えております。

――マネタイズポイントはどのように作ればいいのでしょう。

 参考になるのは、やはりアマゾンやグーグルです。アマゾンは、ECビジネスを展開していますが、ECから派生し、クラウドサービス(AWS、アマゾン、ウェブ・サービス)や在庫管理サービス(FBA、フルフィルメントby Amazon)を展開し、多様な収益源を構築しております。

 このように、リアルとデジタルを融合し、わがままな顧客に体験価値を提供するビジネスにおいては、体験全体の中でどこを収益源とするかを入念に設計し、「顧客をとるためのビジネス」「データをとるためのビジネス」「利益をとるためのビジネス」の3つの位置づけを明確にすることが肝要です。

 このようなビジネスモデルを構築するためには、既存の組織のミッションや利益目標にまで踏み込んだ事業全体の再構築が必要になり、日本の大手企業のデジタルビジネス推進の大きなチャレンジだと認識しております。

(取材・文/河合起季 撮影/西出裕一)

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