AI Shift ―― The Business Transformation for AI ――

AIのポテンシャルを
生かすも殺すも人間次第

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AIで人材採用しても偏りが出る

――AIが間違った判断や格差の助長につながる例としてはどんなケースがありますか。

 例えば、好き嫌いや感情に左右されやすい人間よりもAIのほうが客観的に評価できるという理由から、採用や人事評価にAIを用いる企業が増えていますね。でもAIは人間と同じように、客観的でも公平でもないのです。

 採用に使うあるAIのアプリケーションでは、まず、面接の様子をビデオに撮り、その人の言葉や身振りを記録し、それを社内のハイパフォーマーの言葉や身振りと突き合わせる。それを点数化し、ハイパフォーマーに近い順にランキングするという仕組みです。一見、このような選び方はシステマチックで客観的と思えるかもしれませんが、そうとは言えません。

 というのも、言葉や身振りには出身地や育った環境が顕著に現れるからです。このAIを使えば、おそらく今いる優秀な社員とほぼ同じ出身地や育った環境の人だけを採用することになるでしょう。つまり、偏りが出るということです。人種や性別、出身地や住んでいる場所などで人を評価してはいけないのは当たり前のこと。米国では「客観的とされるAIによる採用を大義名分に、差別を助長している」との声もあります。

――そうなると下位の中に優秀な人材がいるかもしれませんね。

 はい。しかし多くの場合、事後検証はされませんから、AIが間違っていると指摘されることはないのです。

 たしかにこうしたAIを利用した採用は、機械的に人数を絞り込むことができるため、採用業務の効率が上がります。応募者全員を細かくチェックしていくのは大変ですから。もし下位に優秀な人材がいたとしても、全体的なコストや手間という点ではメリットがあるという判断になるのでしょう。

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