リーダーは経営幹部のあり方以前に、
人としてのあり方を学び直すべきである

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優れたリーダーの条件とは何か。そこには多様な見解があるだろうが、リーダーはまず、人としてあるべき姿を問うことが大事だと筆者は主張する。部下は単に高待遇だけでなく、意義や幸福、他者とのつながりといった、人としての基本的なニーズを満たされることも望んでいるからだ。本記事では、人として魅力的なリーダーになるための4つのヒントが示される。


 1000人を超すリーダーたちを対象に、評価や調査、インタビューを行っていると、示唆に富むコメントを多く聞く。なかでも、とりわけパワフルで考えさせられる発言があった。スペインのフォルクスワーゲン・アウディ・リテールのCEO、ハビエル・プラデバルの言葉だ。「今日のリーダーシップで大事なのは、経営を学びほぐし(アンラーンし)、人としてのあり方を学び直すことです」

 ハビエルが言いたいのは、自分が導こうとしている人たちと個人的かつ有意義な「絆」を結ぶ能力にこそ、リーダーとしての真価があるということだ。1981年以降に生まれたミレニアル世代が多くの企業で多数派になりつつある現在、それはいっそう重要になっている。ミレニアル世代は給料やボーナス、福利厚生だけでは満足しない。意義や幸福、そして人とのつながりも求めているからだ。

 問題なのは、リーダーの70%が、自分は人を勇気づけたり、動機づけたりすることが得意だと評価していることである。これは、ほとんどの人が自分は運転がうまいと思っているのとよく似ている。

 従業員がリーダーを見る目は、まったく違う。『フォーブス』誌が発表したある調査では、上司を辞めさせられるなら昇給はなくても構わない、と答える従業員が65%に達している。また、2016年のギャラップのエンゲージメント調査によると、82%の従業員が、自分の上役に対して、基本的に退屈な人物だと見なしている。

 筆者らの考えでは、これら2つの結果は直接関連している。人心をつかむリーダーシップには、メリットが数多くある。マッキンゼー・アンド・カンパニーのデータによれば、内面からのモチベーションが高い従業員は、意欲的に仕事に取り組むケースが32%、自分の仕事への満足度が46%と高く、パフォーマンスも他と比べて16%ほど高い。

 私たちはみな、意義、幸福、そして他者に貢献したいという、人としての基本的ニーズによって突き動かされている。こうしたニーズを真に理解し、内面からのモチベーションを高めさせることができるリーダーは、強い忠誠心や真摯な取り組み、高いパフォーマンスを引き出すカギを握っている。リーダーは経営幹部である以前に、人であるべきなのだ。

 筆者らの研究によれば、アクセンチュアやマリオット、スターバックス、マイクロソフト、リンクトインといった数千もの先進的な企業の経営幹部の間には、1つのグローバルなうねりを確認できる。そうした企業のリーダーたちは、みずからにこう問いかけている。「人としての魅力あふれるリーダーシップと、従業員思いの企業文化を、どうしたらつくれるのだろうか。それが実現すれば、従業員とリーダーの双方がより満足し、より仕事に前向きに取り組めるようになるはずだ」

 人としてより魅力あるリーダーを生み出す手助けをしてきた経験に基づき、ヒントをいくつか紹介しよう。

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