異なる知の共創がもたらす
成熟した組織のイノベーション

パナソニック株式会社 アプライアンス社

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2018年に創業100周年を迎えたパナソニック。家電部門を担うアプライアンス社では、新規事業の創出とそれをリードする人材育成を目的に一昨年発足した、企業内アクセラレータープロジェクト「Game Changer Catapult」(以下GCカタパルト)から、次の100年の礎となる新規事業の種が次々に生み出されている。早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄氏とともに、同社社長の本間哲朗氏とGCカタパルトを率いる深田昌則氏が、成熟企業におけるイノベーションへのアプローチを考える。

イノベーションを生み出す
ボトムアップと外の知の融合

パナソニック 専務執行役員
アプライアンス社 社長
本間哲朗
 Tetsuro Homma
1985年パナソニック(松下電器産業)入社。台湾松下電器、AVC社SDソリューショングループ等を経て、2012年、コーポレート戦略本社経営企画グループマネージャー、2013年に役員およびアプライアンス社上席副社長 コールドチェーン事業担当(兼)冷蔵庫事業部長を歴任。2015年に常務取締役 アプライアンス社社長(兼)コンシューマー事業担当に就任し、2017年より現職。

入山 社内で公募したアイデアを外部のリソースにつなぎ、大企業からイノベーションを起こしていく。GCカタパルトの動きにはかねがね注目しています。

本間 ありがとうございます。松下電器(現パナソニック)は100年前に松下幸之助がベンチャーとしてスタートした会社です。新たな100年に向け、社員が自由な発想でビジネスを創造する企業へ進化したい。2016年に発足したこのプロジェクトには、そんな思いを込めています。

入山 昨年はアメリカ・オースティンで開催される展示会「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」に出展されましたね。

深田 料理をまるごと軟らかく加工する調理器や住空間映像コンテンツ配信システムなど、食、ウェルネス、ライフスタイルの3領域をクロスさせた8つの事業アイデアを発表しました。もともとは映画や音楽のフェスティバルですから「家電」に対する固定観念がない来場者も多く、かなり幅広く面白い反応が得られました。

入山 今年も出展すると伺いました。

深田 はい。ブロックチェーンやAR(拡張現実)、新しいフードビジネスをテーマにしたアイデアを出展する予定です。たとえば「おにぎりのグローバル化」。さらに来場者と対話するトークセッションも予定しています。

入山 業界を超えて共創が生まれそうなアイデアですね。

本間 試行錯誤を繰り返しながらでも、イノベーティブな組織に変革したいと思っています。パナソニックをグローバル企業に押し上げたのは1970年代に始まったVHSビデオ事業ですが、私たち後進の世代は、VHS事業が役割を終えた今も、次のイノベーションを十分に起こせていません。現社長の津賀一宏が2013年に全社を四つの社内カンパニーに分けて意思決定のサイズをコンパクトにし、リーダーが力を発揮しやすい仕組みに変えていますが、ボトムアップでイノベーションを起こすためには会社の中と外の知を結合する仕掛けが必要です。GCカタパルトはその最前線なのです。

入山 イノベーションは、知と知を新しく組み合わせることで生まれます。それもできるだけ「遠くの知」にアクセスした方がいい。私自身もイノベーティブであるために、なるべく経営学から遠いジャンルの人と会うようにしています。

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