アマゾンはこのまま、
インダストリアル・インターネットを制覇するのか

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IoT時代の到来は、何をもたらすのか。これには多種多様な議論が見られるが、イノベーション理論の大家であるゴビンダラジャンは、「デジタル企業 vs. 既存工業企業」の構図で説明する。その世界で価値を生み出すためには、両陣営ともに、乗り越えるべき3つの課題があるという。


 ジェフ・ベゾス、ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイ会長兼CEO)、ジェームズ・ダイモン(JPモルガン・チェース会長兼CEO)の3者は先頃、ヘルスケア部門に参入すると発表した(3社共同で新会社を設立予定)。このニュースは、ドラッグストアのCVS、医療保険のシグナやユナイテッド・ヘルスといった、業界の既存企業を震撼させた。

 この発表はまた、他の業界のCEOに対しても、次のような根本的な問いを再考するよう迫っている。マーク・アンドリーセンの有名な言葉のように、世界はソフトウェアに食われるのだろうか。これはフォード、ジョンディア(農業機械メーカー)、ロールスロイスといった伝統的な工業企業にとっても、破壊的変化を被るリスクの高まりを示す警告なのだろうか。

 この質問に答えるために、まずはデジタル企業と既存工業企業の優位性を比較してみよう。

 今日、製品には以下の3つのタイプが存在する。最初の2つについては、デジタルネイティブ企業(アマゾン、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、IBMなど)が競争優位を獲得している。3つ目については、判定がまだ下されていない。

 タイプ1
「純粋な」情報製品。デジタルネイティブが牛耳っている。検索におけるグーグル、ソーシャルネットワーキングにおけるフェイスブックなどが例。そのビジネスモデルは、インターネットの接続性から恩恵を得ており、莫大なネットワーク効果を享受している。

 タイプ2
 かつてアナログ製品であったが、いまではデジタル製品に変わっているもの。写真、書籍、音楽などがこれに相当する。ここでも、デジタルネイティブが支配的だ。このような製品は通常、デジタル配信プラットフォームを通じて、サービスとして販売されている(オーディブルによるオーディオブック、スポティファイによる音楽、ネットフリックスによる動画など)。

 タイプ3
 物質的部分の入出力効率と信頼性は依然として重要であるものの、デジタルが製品そのものの不可欠な要素となりつつある製品(つまり、コンピュータが製品の内部に組み込まれているもの)。これこそ、IoTとインダストリアル・インターネットの世界だ。

 フォード、ロールスロイス、キャタピラーなど、製造に重点を置いている企業は、タイプ3の世界で戦っている。航空機エンジンは、近いうちに純粋なデジタル製品となる可能性は低い。

 タイプ3の製品には、3つの構成要素がある。物質的要素、「スマート」要素(例:センサー、制御機能、マイクロプロセッサ、ソフトウェア、高性能ユーザーインターフェース)、そして接続性だ(例:機器単体同士の接続、1つの機器と多数の機器の接続、多数の機器がシステム内で相互接続)。

 すでにデジタルネイティブは、メディア、出版、旅行、音楽、写真などの業界に破壊的変化をもたらしている。だが、タイプ3の製品において、経済価値の創出と獲得で主導権を握る可能性が高いのは、どの企業だろうか。

 デジタルネイティブか、それとも既存工業企業だろうか。フォードとテスラ、ロールスロイスとIBM、キャタピラーとマイクロソフト、どちらが勝つのか。アマゾン、バークシャー・ハサウェイ、JPモルガン・チェースの連合なのか、それともユナイテッド・ヘルスだろうか。

(次ページは、『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』を定期購読中の方のみご覧いただけます)

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