Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

エクスポネンシャル・オーガニゼーション
――飛躍的組織とは

「シンギュラリティ大学」創業ディレクター サリム・イスマイル氏に聞く

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行動を起こさないのは
リーダーシップの問題

 企業調査に際して、私は800人のCEOと面談をしました。すると、およそ3分の1ずつ、3つのグループに大きく分かれました。1つは「破壊的変化は起きないと無視する」グループ、2つ目は「破壊的変化は起きても、自分の周りでは起きないと思っている」グループ。3つ目は「破壊的変化が起きると思いながらも、何も手を打たないでいる」グループです。「破壊的変化に備えて手を打ち始めている」人は、全体のわずか5%程度に過ぎませんでした。

 3つ目のグループのように、破壊的変化の可能性を感じながらも何もしていないのは、CEOが自身の評価を落とさないため、長期的な投資を進めるよりも短期的な投資で株価を高い水準に保つことに専念しがちということも影響しているでしょう。いずれにしても、行動を起こさないのはリーダーシップの問題だと思います。

――飛躍型企業によるディスラプションは、従業員にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

 その点に関して私は楽観主義です。仕事がすべて自動化され、職を失うというネガティブな見方もありますが、それは明らかに間違いです。

 ドイツでは工場の作業がどんどん自動化されていますが、むしろ雇用は増えています。新しい時代には、今は見えていない人間の役割があり、そこから新たな仕事が生まれるはずです。

――ところで、サリムさんご自身のMTPは何ですか。

 私自身のMTPですか。それは、本当の意味での「文明社会」を実現することです。いまも世界中の様々な場所で紛争が起きていますが、それはまだ文明が昇華されていないからだと思うのです。文明がもっと進めば、無駄な争いはなくなるのではないでしょうか。

 また、物質的な成長の尺度であるGDPを用いて組織や企業を評価する時代は終わりにしなければいけません。それに代わる尺度としては、幸福度などが考えられます。

 これまで人々は希少性のあるエネルギーなどに目を向け、重要視してきましたが、今後10年の間に太陽光エネルギーなどの技術が飛躍的に発展し、もっといろいろなことが簡単にできるようになるでしょう。例えば、電力が十分にあり、キレイな水をたくさん作れるようになれば、不衛生な水しかない地域での感染症を60%減らすことができます。照明があれば教育を促進し、それが貧困の撲滅につながります。つまり、より多くの人が幸福になれるというわけです。

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