Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

エクスポネンシャル・オーガニゼーション
――飛躍的組織とは

「シンギュラリティ大学」創業ディレクター サリム・イスマイル氏に聞く

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飛躍型企業は、野心的な変革目標と
10の特徴を持っている

 私たちは、このような設立後6年間に最も急速に成長した世界中のスタートアップ100社を調査し、共通する特徴を分析しました。その結果、それらの企業には、私たちが「MTP(Massive Transformative Purpose)」と名付けた野心的な変革目標と、内部・外部環境各5個の特徴という共通項があることを発見しました。飛躍型企業はこうした特徴を生かし、指数関数的な成長を遂げています。外部環境の5つの特徴を表す略語が「SCALE」、同じく内部環境の略語は「IDEAS」です。

 10個の特徴をあらゆる飛躍型企業がすべて備えているわけではありませんが、特徴が多いほどスケーラビリティも大きくなります。このうち4つの特徴を取り入れれば、10倍の成長が期待でき、競合他社との争いから一歩抜き出せることがわかっています。

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出典:「シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法」(日経BP社)

ビジネスモデルはすぐに陳腐化する。
大きな目標を持つことが大切

――「MTP」に関してはすべての飛躍型企業が持っていたということですが、このMTPとは具体的にいうとどのようなものでしょうか?

 MTPは組織の核となるもので、組織の目標を示しています。飛躍型企業が過去に発表した意見表明報告書を見ると、当時からすれば荒唐無稽とも思えるような設立理念が書かれています。これがMTPです。一度大きく成長できたとしても、ビジネスモデルはすぐに陳腐化するから、常に大きな目標を持つようにすることが大切なのです。

 例えば、TEDは「価値あるアイデアを広める」、グーグルは「世界中の情報を整理する」、Xプライズ財団は「人類にとって有益な飛躍的技術革新を実現する」を掲げています。既存の大企業の中でも、コカ・コーラは「世界中をリフレッシュさせる」という、非常に野心的で変革を求める具体的な目標を掲げ、飛躍型企業に生まれ変わっています。

 ただ、注意してほしいのは、MTPとミッションステートメントは異なるということ。「社会に貢献する」的なスローガンは、どの企業でも言いそうなありきたりなものです。従業員の誰も覚えていないのではないでしょうか。

 一方、MTPは「今やっていること」ではなく、「これから達成しようと志していること」です。そして、組織の中の人々だけでなく、外部の人々の心や想像力、野心を掻き立てるものでもあるのです。

 なぜMTPがそれほど重要なのかというと、それは共通の価値観に裏打ちされた仲間意識創出をできるという大きなメリットがあるからです。人々の心に良い刺激を与えることで、当事者意識をもたらし、マーケティングやアフターサービス、さらにはデザインや製造といったプロセスにも協力したい、という気にさせる。例えば、iPhoneには無数の周辺機器やユーザーによって開発されたアプリケーションがありますよね。開発者は誰なのかと思えるくらい多くの人がiPhoneを愛し、より良い製品にしようと積極的に関わっています。

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