今、理解しておくべき技術革新を的確に解説
――書評『大予測 次に来るキーテクノロジー2018—2019』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第71回は城田真琴氏による大予測 次に来るキーテクノロジー2018—2019を紹介する。

ポスト・スマホの技術
VR、AR、MR

 本書は『大予測』という書名で、少し損をしていると思う。このタイトルは、年末年始にほとんどの経済誌が組む特集を連想させ、想定読者に既読感や先入観を持たせてしまうからだ。しかし、本書の中身はそれら雑誌の特集よりも、はるかに優れている。

 今日、技術革新のスピードが速くなっている。新技術活用の成否が、企業の競争優位を大きく左右する。したがって、ビジネスパーソンは、技術革新の動向をきちんと理解しておく必要がある。そのニーズに的確に答える書籍として、本稿で推薦する次第である。

 本書は、AI(人工知能)、自動運転、音声操作、チャットボット、VR・AR・MR、バイオメトリックス認証、センシング、ブロックチェーンの技術動向を各1章で解説している。

 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)編集部も最近の技術革新を重要視しており、2018年1月号で特集「テクノロジーは戦略をどうか変えるか」を組んだ。ハーバード大学教授のマイケル・ポーター氏らは論文「AR戦略:拡張現実の並外れた可能性」でAR(拡張現実)の革新を示したが、本書では、ARにVR(仮想現実)とMR(複合現実)を合わせて「ポスト・スマホ」の技術として第5章で詳述し、最新事例を多く紹介している。

 例えば、2017年6月のアップルの年次開発者会議では、最新OSの新機能としてARプラットフォームを発表し、同社の技術開発の優先順位においてiPhoneの次にARを位置づけていると解説する。グーグルは、同年8月に新しいARフレームワークを発表し、今後数千万台のスマホでの利用を目論むとしている。フェイスブックは、VRをモバイルの次に来るコミュニケーションツールと位置づけているとして、同年4月の開発者会議でソーシャルVRアプリのベータ版を公開したことを伝えている。

 続けて、現実世界に3Dの仮装物体「ホログラフィック」を重ねて表示するMRを実現したマイクロソフトの「ホロレンズ」を説明する。さらに、それをネットワークに接続することで、3D映像を遠隔地間でリアルタイムにやり取りする技術「ホロポーテーション」について解説する。ホロレンズの優位性は、前述のDHBR1月号のポーター氏の論文でも詳述されており、そこで紹介された動画はユーチューブに数多くアップされている(リンク)。

 本書は、こうした最新技術の動向と共に、それらが実際のビジネス現場でどのように活用されているのか、また、商品化されているのかを示している。自動車、医療、物流、小売、旅行、不動産、教育と産業別に事例を示している点は、ビジネスパーソンには有意義である。

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