CVCファンドを活用した
ベンチャー企業とのオープンイノベーション
押さえておくべき3つの視点

PwCアドバイザリー合同会社
ディールズストラテジー・リーダー
パートナー 青木義則

3

③目標達成までのストーリーを持っているか

 ベンチャー企業と大企業の協業を円滑に進めるうえでは、協業を本格化するタイミングも重要なポイントとなる。ベンチャーは一般的に、会社を立ち上げて最初の1~3年(期間は企業により異なる)は、製品・サービスを開発して市場
に送り出し、顧客からのフィードバックを得ながら製品・サービスを進化させたり、ビジネスモデルを確立するために試行錯誤を繰り返したりする時期である。そこで手ごたえを感じたら、成長に向けて投資を行い、勝負をかける。

 つまり、ベンチャー企業は協業相手である大企業の思惑とは関係なく、立ち上げ期から成長期への流れをいかにつくっていくかに最も重きを置いている。大企業の協業推進担当者としても、その流れを理解しておくことは重要である。

 ベンチャー企業は大企業が思う以上に社内リソース(主に人的リソース)が不足しているものである。成長途上のベンチャー企業に拙速に協業を持ちかけると、双方にとって大きな負担となりうる。それを十分に理解した上で、協業を進めるタイミングはいまが良いのか、それとも相手が次の段階に到達するのを待ったほうがいいのか、協業に向けたストーリーを検討するのである。そして、そのストーリーをベンチャー経営者に率直に語り、双方にとってWin-Winとなる協業ストーリーを共有するのである。それが、結果として目的達成の近道となる。

失敗はつきもの
中長期の視点で取り組むべき

 最後に、CVCファンド運用を中長期の取り組みとして考えることの重要性についてふれておきたい。

 ベンチャー企業との協業において、事業シナジーを生み出し、オープンイノベーションを推進することで新規事業創出を目指すといっても、それほど簡単なことではない。一方で、社内のアイデアや人材だけで、画期的な新規事業を創出するのが容易でないのも事実であろう。

 ベンチャー企業との取り組みには、失敗がつきものである。しかし、それらの失敗から学ぶことによって、自社に適したアプローチが見つかっていくものである。多少失敗したからといって早々に見切りをつけるのではなく、粘り強く、自社流のオープンイノベーションのアプローチを確立できた企業が、中長期的に大きな果実を得るのではないだろうか。

<PR>

関連記事

>> 自社独自のケイパビリティと市場ニーズをマッチさせる
ポール・レインワンド氏に聞く 戦略を確実に実行する法【前編】

>> 自社独自のケイパビリティを改善し、需要を創造する
ポール・レインワンド氏に聞く 戦略を確実に実行する法【後編】

>> コストとは投資である 一律削減は成長を生まない
「Fit for Growth」で成長に必要な筋力を鍛える

>> 特別インタビュー
自社の強みを見極め事業コヒーレンスを高めるべき    [PR]

>> セミナーレポート
戦略と実行を結びつける「5つの行動様式」とは    [PR]

>> AIは失敗からも学ぶ
知的なリスクテークを恐れず日本企業ならではの新たな利活用を試行せよ    [PR]

>> 企業変革の実践
どこで差別化し、どの領域で勝つのか そのための経営資源をどう捻出するか    [PR]

>> 企業変革の実践
後ろ向きのコスト削減ではなく成長のためのコスト構造最適化を    [PR]

>> 企業変革の実践
低成長の企業や市場こそ「成長のための最適化」が不可欠    [PR]

今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
お問い合わせ

PwCアドバイザリー合同会社

〒100-0004

東京都千代田区大手町1-1-1

大手町パークビルディング

TEL:03-6212-6880

https://www.pwc.com/jp/