AI Shift ―― The Business Transformation for AI ――

AIを自社のビジネスに生かすために
経営者は何をすべきか

1

「人を補完し、支援する技術」として、世界有数の規模でAI(人工知能)の研究/開発を推し進めるマイクロソフト。ユーザーにとっての利便性を最重視し、ライバル企業との協力/協業も精力的に進める同社は、AI技術の研究/開発を通して企業に何を提供しようとしているのか。また、自社のビジネスにAIを導入する企業経営者は何を考えるべきか――日本マイクロソフトでAI技術の適用を統括する榊原彰・執行役員 最高技術責任者(CTO)に聞いた。

クラウド・コンピューティングの
普及でAIの実用化が加速

――ここ数年、世界的にAIの研究/開発が活発化し、さまざまな領域で応用が進みつつあります。なぜ今、AIがこれほどまでに盛り上がっているのでしょうか?

榊原彰
日本マイクロソフト 執行役員
最高技術責任者(CTO)
兼 マイクロソフト ディベロップメント
代表取締役 社長

日本アイ・ビー・エムでの要職を経て、2016 年1月より日本マイクロソフト 執行役 最高技術責任者(CTO)に着任。2018年1月に執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役 社長に就任

榊原彰CTO(以下・略) 背景にあるのは、コンピュータやネットワークの処理性能の向上と、クラウド・コンピューティングの登場により、それらが手軽に使えるようになったことです。AIの基礎技術であるニューラル・ネットワークについては1940年代から研究が進められてきましたが、広く実用化するには大量のデータを収集/保管し、高速に処理できるコンピュータ環境が必要でした。これらの特性を備えたクラウドは今日、AIの実現を支える強力なバックボーンになっています。加えて、近年は画像認識への応用など、AIの研究領域でも大きな発展があり、このことも実用化を大きく後押ししています。

――それらのブレークスルーにより、例えばビジネスの領域でAIをどのように活用することが可能になったのですか?

 画像認識技術の面白い活用例を1つご紹介しましょう。ノルウェーで自然電力関連のビジネスを手掛けるイースマート・システムズは、マイクロソフトのAI技術を使って画像認識システムを開発しました。これをドローンに搭載し、送電設備の点検に使っています。ノルウェーは国土が広大であり、点在する送電塔の1つ1つに技術者が登って設備を点検するのは大変です。そこでカメラを搭載したドローンを飛ばし、鉄塔の上にある変圧器や碍子を撮影して画像をAIで解析し、クラックが入っていないかどうかといったことを調べるのです。これは高度な画像認識用AIが登場したからこそ生まれたビジネスの1つだと言えます。

マイクロソフトのAI技術を用いたイースマート・システムズの送電設備点検システム
次のページ  25年以上にわたるAIの実績とノウハウ»
1
» 「AI Shift ―― The Business Transformation for AI ――」 トップへ戻る

AI For Business