コカ・コーラ、ネットフリックス、アマゾン……
成功企業のリーダーが失敗を奨励する理由

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 マサチューセッツ州西部にある女子大のスミス大学は、「上手に失敗する(Failing Well)」というプログラムを開講した。その内容は、誰にとっても役立つものだ。「私たちが教えようとしているのは、失敗とは学習における“不具合”ではなく、“仕様”だということです」。同プログラムを運営するレイチェル・シモンズは、先頃の『ニューヨーク・タイムズ』紙上でそう説明している。

 実際に、受講する学生が受け取る「失敗証書」なるものには、次のように謳われている。人間関係、プロジェクト、試験、その他のきわめて重要と思われるあらゆる取り組みにおいて、「あなたがしくじり、へまをやらかし、失敗することをここに許可する」。そうなっても「あなたが本当に価値のある、非常に素晴らしい人間であることは変わらないものとする」。失敗に対処する準備ができている学生は、完璧さと落ち度のない成果を目指す学生よりも、タフで大胆だ。

 これは、ビジネスにも適用する価値のある教訓だ。2010年からドミノ・ピザのCEOを務めているパトリック・ドイルは、この7年間の経営で、どの分野のどのリーダーよりも成功を収めた1人である。だが彼の主張によれば、自社の成功はすべて、間違いやつまずきの可能性を真っ向から受け入れる意志に基づくものだという。

 ドイルは他のCEOへのプレゼンテーションのなかで、企業と個人にとって、失敗に前向きとなるうえでの2つの大きな障壁について説明した。第1の障壁は「不作為バイアス」で、ほとんどの人は新しいアイデアが浮かんでも実行に移そうとしない、という現実を指す。何かを試してうまくいかなかったら、その失敗によってキャリアに傷がつくかもしれないからだ。

 第2の障壁は、「損失回避」という傾向だ。人は、勝つためよりも負けないために勝負することが多い。なぜなら、ほとんどの人にとって、「負ける痛みは勝つ喜びの2倍」であるからだ。

「失敗する権利を与えることは、人々に活力を与える」ことになり、成功に必要な条件であるとドイルは説く。ゆえに、彼はプレゼンテーションのタイトルを、映画『アポロ13』への謝意を表しつつ、「失敗は選択肢の1つ」とした(同作中の「失敗という選択肢はない」というセリフをもじっている)。

 これこそ、何よりも重要な教訓であろう。リード・ヘイスティングス、ジェフ・ベゾス、コカ・コーラの新CEOに聞いてみるとよい。失敗なくして学びなし、挫折なくして成功なし、である。


HBR.ORG原文:How Coca-Cola, Netflix and Amazon Learn From Failure?  November 10, 2017

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ウィリアム・テイラー(William C. Taylor)
『ファストカンパニー』誌の共同創刊者。最新刊は『オンリーワン差別化戦略』(ダイヤモンド社)。既刊邦訳に『マーベリック・カンパニー 常識の壁を打ち破った超優良企業』(日本経済新聞出版社)がある。

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