企業変革の実践
後ろ向きのコスト削減ではなく
成長のためのコスト構造最適化を

PwCコンサルティング
常務執行役 パートナー
ストラテジーコンサルティング(Strategy&)リーダー
三井健次氏

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グローバルに活動するPwCにおいて戦略コンサルティングを担うStrategy&は、2017年初頭に米国で発行された『Fit for Growth』の日本版『成長への企業変革』を刊行した。いまこのタイミングで同書を世に問うた狙いを、Strategy&の日本のリーダーに聞いた。

競争優位を確立するための
実践的ガイドブック

──『成長への企業変革』をいま日本で発行することに、どのような意味を込められたのでしょうか。

三井(以下略):その質問にお答えする前に、まず「Fit for Growth(成長のための最適化)」という言葉について少しご説明します。この言葉はPwC Strategy&の米国における登録商標であり、「いかに経営資源を確保し、成長戦略に振り向けていくか」を支援するPwCおよびStrategy&のコンサルティング・サービスを表したものです。

KENJI MITSUI
Strategy& 東京オフィスのリーダー。医薬品・医療機器、インフラ・建設・エンジニアリング・不動産などの業界において企業・事業戦略、マーケティング戦略、組織および業務プロセス改革、企業再生などを中心にコンサルティング経験を有する。東京大学工学部卒、同修士、マサチューセッツ工科大学大学院修士。

 Strategy&は、「企業は同業他社にはない固有のケイパビリティ(組織能力)を活用することで、高業績を目指すことができる」という考えに基づいて、戦略策定と実行のコンサルティングを行ってきました。それを集大成したのが、前著『なぜ良い戦略が利益に結びつかないのか』(原題:Strategy that Works)でした。新たに出版した『成長への企業変革』は、いかに戦略を実現し、競争優位を確立するかに主眼を置いた、経営者やマネージャー層向けの実践的なガイドブックとなっています。

 さて、なぜいまこの本を日本で出版したのかという質問についてですが、日本に限らず、グローバル企業を取り巻く経営環境の大きな変化が、その背景にあります。世界に共通する大きな変化ドライバーは、一つが技術革新、もう一つが経済構造の変化です。

 デジタル化を含めた技術革新により、既存の業界構造が急激な変化を遂げつつあります。そして、グローバルでの経済構造の一体化と、各地域のローカル化という一見相反する変化が同時進行しています。さらに、日本固有の変化ドライバーとして、市場の縮小を挙げることができ、企業はそうした複数の大きな変化への対応を迫られています。

 このような激しい環境変化に身を置く企業は、戦略そのものを変化させるだけでなく、その戦略を実行するために自らの“カラダ”を変える必要に迫られています。ぜい肉をそぎ落とし、必要な筋肉を強化して体形をつくり変える。いわば、次の時代へのトランスフォーメーションが日本企業に求められていると言えます。

 翻って、私たちが日本企業の経営の現場に接していて感じるのは、戦略とコスト削減がほぼ切り離された議論として進行していることです。全社的なコスト削減の目標はトップダウンで示されますが、具体的にどこをどう削るのかはそれぞれの部門に任されています。そうすると、本来は強化すべき筋肉までそぎ落としてしまうという事態が起こり得ます。

 大きな環境変化に合わせてカラダそのものを変えていくには、無駄なコストをそぎ落として原資を確保し、強化すべきケイパビリティにはしっかり投資していく。それを体系的に実行する必要があります。これがまさに戦略とコスト削減をしっかりと結びつける、「成長のための最適化」のアプローチなのです。

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