日本企業が苦手な、新しい経営の潮流を解説
――書評『BCGが読む 経営の論点2018』

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ハーバード・ビジネス・レビュー編集部がおすすめの経営書を紹介する連載。第67回はボストン コンサルティング グループによるBCGが読む 経営の論点2018を紹介する。

日本の医療を高水準に
維持するためのモデル

 著者は、世界有数の戦略コンサルティングファーム、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の13人の日本人コンサルタント。ビジネスに大きな影響を及ぼすと考えられる最近の経営や技術、制度の動向を分析し、変化の方向性と対処策を提言している。

 経済や社会のグローバル化で、そうした変化は世界各地で同時あるいは僅かな時間差で起きることが多い。この点で、本書は、BCGが世界50カ国に拠点をもつことの強みが活きている。変化が先行する世界の事例が、日本での変化を予測させる有力な材料として示されている。

 たとえば、「デジタルトランスフォーメーション」(以下、「」は本書が章立てして扱っている項目)で欧米企業の事例、「シェアリング・エコノミー」では米国や中国の制度の変化などである。

 なかでも、医療費全体の最適化を図ろうとする考え方の「バリューベース・ヘルスケア」は、説得力がある。現在、日本の医療は高水準であるが、医療費の急増で、このままでは維持が困難な状況にある。その改善策として、本書で示されるドイツと米国の事例はとても示唆深い。

 具体的には、医療機関の治療成績をデータベース化して競争と改善を促したり、医療機関や医薬品会社、保険者等のインセンティブを患者にとっての医療価値を高める方向にそろえていたりする事例が詳述されている。既得権益を打ち破ることは難しいが、明確で有効なモデルを示せば、国民の納得感が得やすいと考えられる。

「ダイバーシティ」、「グローバリゼーション」、「M&A」、「アジャイル」など、日本企業が苦手としがちで、かつ外資系コンサルティングファームが得意とする項目がカバーされている。

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