夫に出世の足を引っ張られるなら、
独身のままでいたほういい

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企業でも、家庭でも、男女平等への理解は進んでいると言われるが、実際はどうなのか。自分は進歩的な人間だと思っている男性もいるだろう。だが、妻の出世が自分のキャリアの妨げになるという現実に直面したとき、それを心から喜び、手放しで受け入れることはできるのだろうか。筆者は本記事で、家庭内における男女間の格差を明らかにしたうえで、夫婦円満でいるために最低限何をすべきかを示す。


 先日、すばらしいキャリアを築いてきた8人の女性たちとディナーをともにした。年齢は35歳から74歳まで幅広く、彼女たちの話は、共働きカップルに関する研究で私が出会う典型例だった。

 1人は最近、外国での大きな昇進のチャンスをつかんだが、海外移住について夫を説得するのに何ヵ月もかかったという。別の1人は結婚生活を守るために、1年間休職して大学院に戻ることにした。家庭に少し軸足を移し、2人で同時に高いキャリアを追求する状態に一息つくためである。さらに別の1人は、法律事務所での仕事をパートタイムにしたが、それでは「補欠」扱いになるだけと気づき、代わりに博士号を取ることにした。その間、夫は継続してキャリアを積んでいた。

 彼女たちの話のどれもが、私が長年の研究と体験から引き出した結論を、さらに裏付けるものだった。仕事で出世を目指す女性にとって、パートナーに関する選択肢は事実上2つしかない。とことん協力的なパートナーか、パートナーなしでいくか。中途半端なパートナーと組んだところで、結局、やる気とキャリアの足を引っ張る泥沼にはまりかねない。

 これが現実なのだ。職場における女性の問題は、いまなお過渡期である。20世紀、女性の地位は向上した。21世紀は、それに男性が順応する(または、しない)番だ。実際には、事は順調に運ばず、反発も多いだろう。それでも、実現したときのメリットは限りなく大きい。

 現在のところ、このシフトの先頭を行く男性も企業も、ごく少数派である。メリンダ・ゲイツが最近書いていた通り、私たちはいまも「父親たちのためにつくられた会社に、娘たちを送り込んでいる」。そして、娘たちを送り込む結婚という制度も同様で、男女平等と銘打たれているものの、男性のキャリアが妻の成功によって邪魔されない限りにおいて、という条件付きである(私が研究のために行う取材で、キャリアの足を引っ張る配偶者の話は同性カップルからもたまに聞くが、大多数は異性愛のカップルだ。ほとんどの場合、女性のキャリアのほうが優先順位は低い)。

 こうした夫はまったく進歩的でも協力的でもない、とは言わない。少なくとも自分では、進歩的かつ協力的な配偶者だと思っている。私の仕事相手である、さまざまな企業のCEOやリーダーも同様だ。ただ、想定外のトレードオフに遭遇すると、馬脚をあらわすことが多い。彼らは、妻が仕事で成功して、収入も高いことを喜ぶ。妻を称賛し、サポートもする。ただし、あくまで自分のキャリアの邪魔にならない限りにおいて、である。

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