Going Digital 社会、市場のデジタル化を日本企業変革のチャンスにする

「線形」から「ネットワーク型」へ
デジタル時代におけるサプライチェーン改革の視点-(1)

1

昨年から今年にかけて、多くの経営者からサプライチェーン改革をしたいという相談が増えているが、従来と異なる視点が求められていると実感している。高速で変わるビジネスプランおよび製品・サービスライフサイクルに対応しつつ、「デジタル」が可能にするイノベーションをふんだんに取り入れたサプライチェーンをデザインしたい、このように考える企業が非常に多い。しかしイノベーションを取り入れようとすると投資は自然と大きくなり、この投資を高速のビジネス変化のなかで回収していくというのは、従来型のサプライチェーン検討のアプローチでは背反する命題に一見思えてしまう。これまでとは発想を変えたサプライチェーン検討のアプローチが必要だと考えるが、アクセンチュア・ストラテジーではこれを「デジタルサプライネットワーク」というコンセプトで提唱している。本稿ではこのコンセプトが意図するところを概説する。従来その名の通りサプライチェーンといえば左から右に機能が並ぶ線形の一直線でデザインされ、その「あるべき状態(TO-Be像)は何か?」を検討してきた。これに対して「デジタルサプライネットワーク」では供給に関わる機能同士が直接つながるクモの巣状の「ネットワーク性能」をどう高めるかを検討するものである。

Key Highlights
・「コト」の供給を短サイクルで実現していくために、供給に関する機能に順番はなく直接つなげたり切り離したりできる「ネットワーク性能」を追求することが不可欠である
・「デジタルサプライネットワーク」は、供給に関わる機能同士が直接つながるクモの巣状の「ネットワーク性能」をどう高めるかを検討するもの
・上記の実現のために、サプライチェーン部門の進化が必須。具体的には現状のオペレーションを回す機能に加え、イノベーションを模索する機能を新設し両者の間で還流を図ることも重要

サプライチェーンの進化に影響を与えるビジネスの変化

 サプライチェーン改革は時代とともに図1のように追い求めるテーマが移り変わってきた。主なところは下記のようなテーマであったろう。

1.一気通貫サプライチェーン(上流から下流までをつないで見える化する)

2.製品横串サプライチェーン(製品またぎでサプライチェーンをまとめ、しかしコストは製品ごとに見える化する)

3.Speed to Marketサプライチェーン(新興国に素早く兵站を伸ばすために、バックエンドは徹底的に集約・標準化する)

4.オムニチャネルサプライチェーン (消費者に届くまでのバリエーションを増やす)

写真を拡大
出所:アクセンチュア

 そのうえで、ここから5年はこれまでとはまったく違う視点を持ってサプライチェーンの進化を考える必要があると感じている。それは下記のようなビジネスの変化を背景にしている。

A)供給する対象は「モノ」でなく「コト」である

B)短サイクルでサプライチェーンのモデルチェンジを求められる

C)コストを大きく変える革新的技術が現れる

D)サプライチェーンに関わるプレーヤーの生態系が大きく変わる

E)国内(先進国)における労働力の不足

次のページ  「コト」を供給することの本質とは?»
1
Business Model 関連記事
Going Digital オピニオン」の最新記事 » Backnumber
最新号のご案内
定期購読
論文オンラインサービス
  • facebook
  • Twitter
  • RSS