AIは失敗からも学ぶ
知的なリスクテークを恐れず
日本企業ならではの新たな利活用を試行せよ

PwCコンサルティング合同会社
副代表執行役
PwCジャパングループ テクノロジー・メディア・テレコムインダストリー リーダー
今井俊哉

テクノロジー・メディア・テレコムインダストリー
シニアマネージャー
大塚泰子

1

PwCの調査*1 では、2030年までにAI(人工知能)が世界に最大15兆7000億ドル規模の経済効果をもたらすと推計される。海外と日本におけるAI活用の実態と、日本企業が克服すべき課題について考察する。

日本と海外における
AI活用の現状

大塚泰子氏と今井俊哉氏

 昨年から第3次AIブームが本格化している。我々が近年、クライアントから受ける相談は、「従来から分析が活用されていた領域(マーケティングなど)の高度化にAIを活用したい」という要望に加え、「いままで分析が活用されていなかった業務領域(人事の採用・配置の最適化など)への活用」へと範囲が拡大している。

 ただ、AI活用の実証実験は数多く行われているものの、実用化に向けてはまだ時間を要する状況であることが多い。

 日本では実証実験の域を出ないAIであるが、PwCが実施した調査では、2030年までにAIが世界に最大15兆7000億ドル規模の経済効果をもたらすと予測される。その効果が最も大きいのは中国で、金額にして7兆ドルに相当すると見込まれる。次いで北米が、3.7兆ドルとなっている。

 2025年頃までは北米が市場を牽引すると予測されるものの、その後は製造技術に関するAIを中心に中国が北米に追いつき、AIが組み込まれた製品を輸出することで、経済効果がさらに拡大することが想定される。

 すでに中国は「深層学習」についての論文数で、米国を抜き世界一となっており、AI研究への資金投入量では米国に次ぐ世界2位である。中国は国内だけでも(AIを学習させるための)大量のデータを収集することができる優位性を持つことに加え、データ収集、データガバナンスが戦略的に行われている点も大きな強みとなっている。さらに優秀な研究者の確保と政府の強力なバックアップも奏功し、米国に肉薄している。

 一般的には、家庭用AIアシスタントなど、消費者向けAIが注目されがちであるが、グローバルでAIが活用されている領域は製造、労働力などの業務効率化・高度化が中心となっている。PwC調査でも、推計ベースで2017~30年に生み出される経済効果の55%が労働生産性の向上によるものであると予測されている。

 一方、日本を含むアジア先進国のAIによる経済効果は、金額にして0.9兆ドルと、北米・中国のわずか約10~20%程度となっている。

 AIのビジネスへの導入率でも、米国が13.3%であるのに対し、日本は1.8%*2 と大きく後れを取っている。

*1   PwC「Sizing the prize: What’s the real value of AI for your business and how can you capitalise?」(2017年)
*2   MM総研「人工知能技術のビジネス活用概況調査」(2017年4月)

次のページ  日本企業に特有の課題»
1
今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
お問い合わせ

PwCコンサルティング合同会社

〒100-6921 

東京都千代田区丸の内2-6-1

丸の内パークビルディング

TEL:03-6250-1200

https://www.pwc.com/jp/