従業員のやる気を引き出し、
職務以上の仕事をさせる方法

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「市民行動クラフティング」の発想の源は「ジョブ・クラフティング」のコンセプトだ。職務内容のとらえ方を変える(タスク・クラフティング)、一緒に働く仲間を変える(人間関係のクラフティング)、そして仕事に対する心構えを変える(認知クラフティング)ことで、自分の強みや動機、そして情熱に沿うように、働き方をデザインし直すのがジョブ・クラフティングである。

 ジョブ・クラフティングで従業員が自分の本来の役割を主体的にデザインし直すように、市民行動クラフティングでは、職務以上のことをする際のやり方をつくり上げる。組織に貢献するうえ、個人的にも有意義でやりがいがあり、かつ自分の強み生かせるようなやり方を主体的に形づくるのである。

 組織市民行動をクラフティングするのは従業員自身だが、理想的には、自分のニーズに留まらず、上司と同僚のニーズにも合致するかを考えられるのがいいだろう。そこで我々はマネジャーに、自身が率いるグループにとって、どのタイプの市民行動が最も重要であるかを部下に伝えるよう促している。同時に、従業員に行き過ぎた市民行動を求めることは、逆に生産性を下げると認識すべきだとも伝えている。

 また従業員も、どんな市民行動であれば自分の強みや動機、情熱に最も合致するかを上司に率直に伝えるべきだ。たとえば、社会的な付き合いは苦手だが、たまの徹夜仕事は気にならないという内向的なエンジニアがいたとしよう。重大なプロジェクトの完成間際、誰かが遅くまで会社で仕上げる必要があるときに、自分が手を挙げればよいとわかっていれば、彼女は苦手な社交行事に毎回出なくてもよいと思えるはずだ。あるいは、会議の間中ずっと席についているのは耐えられないが、他の人を指導するのは何より好きというセールス担当者には、退屈な委員会には参加しない代わりに、新入社員の後ろ盾として非公式のメンターになるよう依頼すればいい。また従業員は、感謝してくれてお返しに助けてくれるような同僚に対しては進んでみずから手助けするだろうし、それがそれほど苦にならないはずだ。

 市民行動クラフティングは新しいアイデアだが、先行研究を見る限り、そのメリットは、従業員にもマネジャーにもあると考えるべきだろう。

 第1に、従業員がみずから進んでやりたいと考えるタスクが含まれていて、しかも完成を強要されていると感じるタスクは含まれていない場合、その仕事の遂行レベルは著しく高くなる傾向がある。同様に、主体的に市民行動をクラフティングすれば、市民行動の質の向上と効果の増大をもたらすはずだ。

 第2に、自分の強みと情熱に沿った市民行動を実践できれば、その従業員は職務以上のことをしても、それほどストレスや疲労を感じないはずだ。よい市民行動が1つではないと認識すること、そして従業員が各自の興味と才能に合致した市民行動をそれぞれつくり上げてよいと認めることで、マネジャーは従業員の幸せとグループの生産性を同時に高められる。

 最後に、市民行動クラフティングを実践すれば、マネジャーが外発的なアメとムチに頼って市民行動を促す必要性が少なくなるはずだ。その効果は、資金の節約だけではない。外発的な報酬が内発的動機を損なうこともあるという証拠を踏まえれば、市民行動クラフティングは、職務以上のことをしようとする内からの意欲を維持する助けにもなるはずだ。

 まとめると、働く意義を高めるために従業員の仕事を再デザインする際、それが通常のジョブ・クラフティング、つまり職務内容の工夫にとどまってはいけない。より豊かな意義と達成感をもたらすと同時に、組織の業績を上げる貢献もするためには、本来割り当てられた以上のどんな行動を組織市民として編み出すとよいのか。そんな市民行動クラフティングについて、従業員に主体的によく考えてもらうようにするといいだろう。


HBR.ORG原文 How to Motivate Employees to Go Beyond Their Jobs, Septemter 15, 2017.

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マーク C. ボリノ(Mark C. Bolino)
オクラホマ大学マイケル F. プライス・カレッジ・オブ・ビジネスの経営学教授。インターナショナル・ビジネスのディレクター。

アンソニー C. クロッツ(Anthony C. Klotz)
オレゴン州立大学カレッジ・オブ・ビジネスの経営学助教授。
 

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